波乱の幕開け(号外版)

 6月3日発表の5月の米国雇用統計では、雇用者数は市場予想の17万人増を大きく下回る5万4000人となり、失業率も0.1%上昇して9.1%となりました。

 一番の問題は、リーマンショック以降の2回にわたる前例のない金融量的緩和にもかかわらず、景気が下降し始めたと言うことです。

 結局、量的緩和で積極的に市場に供給された資金は、回りまわって国債投資に向かい、景気拡大のために使われなくなってしまうという、日本が陥っている状況に非常に似てきているのです。

 米国10年国債利回りは、2.94%まで低下しており、リーマンショック直後、昨年のユーロ危機に続く3回目の3%割れとなり、それだけ深刻な状況と言えます。

 米国でも、銀行の融資姿勢が厳しくなり、従って住宅融資を含む融資が伸びず、かつての投資銀行であるGoldman SachsMorgan Stanleyも今は銀行持株会社であり、自己資本を使った自由な投資を厳しく制限されているのです。

 米国経済は、長期にわたって低迷するかもしれません。

 実は、ドイツ10年国債の利回りも3%を下回っています。

 600億ユーロのギリシャへの追加緊急融資がまとまりそうで、昨日のユーロは対ドルで反発し、1ユーロ=1.46ドル台となっています。

 しかし、そうなるとユーロ圏でのGDP比率が2.6%に過ぎないギリシャに、ユーロ圏全体で、決定済みの1100億ユーロを含めて1700億ユーロ(20兆円!)もの支援が必要となり、この分は債券発行で賄うことになります。

 つまり、日本はもちろん、米国もユーロ圏も大半の資金が公的債務の穴埋めに向かうことになり、民間経済の発展のために使われることが少なくなり、当然のことですが経済回復が遅れるのです。

 一方、中国やブラジルなどの新興国経済は好調のようですが、先進国の経済が長期的に低迷すると、資源の消費や新興国の労働力への依存が少なくなり、好調さが持続するわけでもありません。

 成長力の落ちた先進諸国からの投資資金が、新興国経済を実態以上に良く見せている事は否定できません。これらの投資資金も新興国経済が少しでも変調をきたすと、あっという間に引き上げてしまうものなのです。

 同じことが、高騰する資源価格についても言えます。

 リーマンショック時に原油価格が140ドル台から一気に30ドル台まで落ちたように、好調な実需ではなく、投機資金が実態以上に押し上げている可能性が強いのです。

 ただ、金だけは代替通貨としての側面が強いため、1500ドル台と言うのは実態なのかもしれません。リーマンショックの時も1000ドルから700ドル台まで落ちただけでした。

 結局、米国経済が落ち始めると、世界の資金の流れの全てを再検証しなければならず、当然大きなひずみが起きるはずです。

 直感的に言えることは、金融緩和で世界的にあふれかえる投資(投機)資金に対し、十分な収益機会を提供する投資対象が圧倒的に少なくなり、結局公的債務の穴埋めに向かってしまうと言うことです。

 ただ、その過程で投資(投機)資金の移動が激しく起こり、相場の変動も大きくなるのです。

 確たる理由もなしに、円に世界の投機資金が流入して、とんでもない円高になる可能性も無くはないのです。

 その辺をじっくりと考えて、来週の闇株新聞に書いていこうと思います。

 

 この記事は無料メルマガ「闇株新聞」にて、号外としてメール配信した記事です。