ヘッジファンド資産残高拡大の意味するところ

  本年3月末時点で、ヘッジファンドの資産残高が初めて2兆ドルを超えたようです。

  それまでの最高だったリーマンショック直前の2008年6月末の1兆9300億ドルを初めて上回ったのです。

  昨年7月に成立した金融規制改革法(ドット・フランク法)により、資産残高1億5000万ドル以上のヘッジファンドは、来年1月からSECへ登録と一定の報告をしなければならなくなります。

 ところが皮肉なことに、このことが逆にヘッジファンドへの信頼感が増し、機関投資家からの資金が流入していることも理由のひとつです。

 この辺のことは2月15日付け「ウォール街の地殻変動 その1」と、2月17日付け「ウォール街の地殻変動 その2」 に書いてありますのでご参照ください。

  うまく説明できないのですが、ヘッジファンドの資産残高が過去最高になったということは、世の中に十分な収益を上げられる投資機会が少なくなっていることの裏返しで、あらゆる相場が波乱含みになる前兆だと思うのです。

  今までの資産残高が最高だった2008年6月の直後に、リーマンショックが起きました。

  リーマンショックを引き起こしたサブプライム問題も、サブプライムローン自体は昔からあったものなのですが、大量の投資資金が少しでも有利な投資機会を求めて殺到したため、ここまで問題が大きくなってしまったのです。

  再び、警戒が必要な時期に入ってきたようです。

  週末の6月5日付け、号外版「波乱の幕開け」でも書いたのですが、ここで米国経済が急降下すると言うことは、先進国(米国・ユーロ圏・日本)だけでなく、中国・豪州・ブラジルなどの新興国・資源国や、資源価格そのものも含めた全ての投資対象への投資収益が不安定になることなのです。

  一方、世界の投資(投機)資金は依然として潤沢にあるため、ヘッジファンドを含めた世界の膨大な資金が、少なくなった投資収益機会を求めてさ迷うことになるのです。

  大体、世界の運用手法の大半は順張りであるため、一旦相場の方向が出てくると、ますます加速されることになります。

  まさに、ソロスの「再起理論」でいう「相場は常に間違った方向に行き、耐えきれなくなるところまで行って崩壊する」のようなことが起きるのです。

  問題は、何が間違った方向なのか、誰もわからないことです。

  もっと厄介なのは、間違った方向だと仮に分かったとしても、ヘッジファンドを含む世界の運用担当者は、運用成績を上げるために目をつぶってついていかなければならないことです。なかなか逆のポシションは取れないものなのです。

  まあ、そうはいってもヘッジファンドの運用者になったつもりで、今後起こりそうな方向だけは予想しておきましょう。

 1) ドルは、対円、対ユーロで弱くなります。対円では多分、70円台が定着します。

2) 資源価格は米国経済の急降下で、調整に入ります。従ってドルも対豪ドル、対カナダドル、等に対しては反発するかもしれません。

3) ただし、金価格だけは比較的しっかりしていると思います。

4) 米国国債、ドイツ国債、日本国債の利回りはさらに低下します。

5) 中国、ブラジル経済は調整に入ります。意外に金融引き締めが早く終了するかもしれません。そしたらさらなるバブルになるでしょう。

6) 米国株は調整します。特に金融・消費は駄目でしょう。

7) 日本株はもっと調整します。

  それぞれについては、また改めてコメントすることにします。