70円台定着・新たな混乱の始まり

 円ドル相場が70円台で取引されている時間がだんだん増えてきて、特別大騒ぎもされなくなってきました。

 このまま70円台が定着してしまいそうです。

 先日、5月上中旬(1日~20日)の貿易収支が1兆円強の赤字だったことが発表されていました。4月の4000億円強の赤字から拡大しているようです。

 4月の経常収支(貿易・サービス収支と所得収支・移転収支の合計)も4000億円強の黒字と激減しています。まだ趨勢をつかむには早すぎるかもしれませんが、日本の経常収支の黒字額は劇的に減少するようです。

 2010年度の経常収支の黒字は15兆9000億円ほどで、2009年度も同じ位でした。

 これは、ドル需給からすると、もちろんドル余剰が減少することです。

 一方、資本収支についても変化が見られます。4月の体内・対外証券投資を見て見ましょう。

 まず、外人投資家による中長期国債の購入が2兆7000億円もの買い越しとなっています。特に中国が1兆3000億円ほど買い越したようです。

 日本の国債は今まであまりにも利回りが低いため外人の保有が少なく、短期国債を含めて総額で50兆円くらいなので、非常に大量の買い越し額といえます。

 中国以外に中東の産油国も買っているようです。

 これはもちろんリーマンショック以降、米国国内のマネタリーベースや、それに海外の米国債保有高を加えたワールドダラーがそれぞれ2.5倍以上に膨らんでいるため、ドルの比率を下げなくても維持するだけで膨大な他通貨投資への需要が出てくるからです。

 特にワールドダラーは、リーマンショック前の2兆ドル台から、直近では6兆ドル近くになっているようです(6月9日の日経新聞による)

 その向かう先として円が見直されているのです。これは何も日本の経済力が見直されているわけではなく、やむをえない「買い」なのですが、強烈なドル売り・円買い需要となります。

 一方、外国人の日本株買いは明らかに減少しており(4月はわずか388億円の買い越し)、早晩売り越しになると思われます。

 それから、国内投資家は外国証券を約1兆円売り越しています。この流れも、円高定着となれば続くと思います。

  したがって資本収支としては、4月は差し引きで4兆5000億円ほどの流入となったわけです。売られたのが、すべてドルということではないのですが、円が4兆5000億円買われたことだけは確かです。

 ドル需給を考えるにあたって重要なのは、外為証拠金取引のドル買いです。

外為証拠金取引で、日本の投資家はどうしても外貨の逆張りの買いをする傾向が強く、現在も推定300億ドル(2.4兆円)くらいのドル買い・円売りのポジションがつみあがっているようです。

 この水準は、東日本大震災直後に大量のストップロスで76円台までいってしまった直前の水準にほぼ等しいと思われます。

 今回は、さすがにもう少し余裕のある買い方をしていると思うため、すぐにストップロスによる急激な円高が起こることもないと思いますが、いずれにしてもドルの頭は確実に重くなっているのです。

 結論として、世界中にあふれかえったドルの保有を減らし、他通貨や金などに分散する動きが、いよいよ本格的に始まったような気がします。

 分散する対象として円も選ばれているのです。

 世界の為替相場は、新たな混乱の局面に入ったようです。

 

  世界の金融市場から目を離せないようになってきましたので、特に週末に米国市場で大きな動きがあった時は、土曜日の昼ころにメルマガに号外記事を配信します。