債券相場の行方(号外版)

 今週はあまり相場のことは書いていませんでしたので、まとめてみます。

 世界の資金が株式から債券に大きく流れると言うことは、経験的に間違いないと思っています。

 実際足元では、米国10年国債とドイツ10年国債の利回りが、ともに2.92%(16日現在)、日本の10年国債が1.11%となっています。

 世界的に財政負担が大きくなり国債発行が増え、民間の資金が財政赤字の穴埋めに使われることになるのですが、それが民間の資金需要を逼迫させることはなく結果的に国債金利が下がり、世界的な成長減速と株価の低迷を引き起こすのです。(5月19日付け「金融抑制の弊害」を御参照下さい)

 しかし、格付け機関は米国や日本の格下げを声高に叫び、昨日はイタリア(まだAa2だった!)の格下げ予想も出ていました。

 しかし、いくら国債の格下げの話が出てきても国債金利は下がり続けるはずです。一方で、民間の成長減速も同時並行するので、格付けの低い債券は売られます。

 格付けの低い債券が売られる典型的な例として、欧州ではギリシャ10年国債の利回りが18.5%。2年国債が30%程度の利回りとなっています。

 ギリシャ経済は、ユーロ経済の2.6%を占めるだけなので、ユーロ当局が徹底的に支援すると強く言うか、債務の一部切り捨てやギリシャのユーロ一時離脱などのハードランディングをするか、どちらかはっきりさせればよいのですが、どうも足並みがそろわないようで長引そうな気がします。

 米国国債に話しを戻しますと、債券王と言われるPIMCOのビル・グロス氏の最近の発言が注目を浴びています。

 グロス氏は世界の債券市場で最も影響力のある人です。もともとはカジノのプロギャンブラーで、現在は1.2兆ドルを運用するPIMCOの運用責任者です。

 そのグロス氏は、「現在の量的緩和が6月に打ち切られると、最大の買い手(FRB)を失った米国国債は格下げのリスクもあり、金利は上昇する」と言っています。そして「個人の冨が政府に移転することになり(つまり政府に搾取されることになる)、インフレ率を勘案すると実質マイナス金利となるので米国国債は保有しないように」と呼びかけています。

 事実、PIMCOのポートフォリオからも米国国債を売却してしまったようです。

 しかし、5月13日付け「下がり始めた米国金利は要注意のシグナル」でも書きましたように、量的緩和の打ち切りは、むしろ米国国債の利回りの引き下げ要因、つまり米国国債の価格の上昇となるはずなのです。

 量的緩和と言うカンフル注射が終わると景気が減速し、かえって金利が下がり、次の量的緩和を市場が期待するからです。

 大変畏れ多いのですが、この点においては債券王のグロス氏の見立てと私の見立ては逆なのです。でも自信があります。なぜなら同じ状況に10年以上陥っている日本経済と債券市場を見てきているからです。

 繰り返しますが、債券(国債)利回りの低下は、長期にわたる経済と株価の低迷を引き起こすのです。それが日本だけでなく、世界的に広がっていきそうな予感がするのです。

 

 この記事は、6月18日付けの無料メルマガ「闇株新聞」でメール配信した記事です。