米国の追加金融緩和

 昨日(7月13日)、FRBのバーナンキ議長が追加金融緩和に言及しました。追加金融緩和と言っても政策金利はほぼゼロ金利なので、FRBによる国債買い入れなどの量的緩和を指すことになります。

 過去2回の量的緩和でFRBのバランスシートは約3倍の2兆6000億ドル程度に膨らんでいます。(日銀のバランスシートは143兆円くらいです)

 量的緩和の最大の目的は、まず株式市場を上昇させることによって、心理面と資産効果の両面から本当の経済回復を引き起こすものであるはずです。

 事実、過去2回の量的緩和では、まず株式市場が上昇し、それにつれて経済回復への期待が盛り上がったものでした。従って逆に量的緩和の間は(FRBが国債を買い入れているのにも関わらず)国債利回りが上昇していたのです。

 ところが、昨日の市場の反応は、米国株式は一時160ドル程上昇したものの、結局44ドル程の上昇にとどまり、米国10年国債の利回りもほとんど変わらない2.88%でした。

 つまり、量的緩和の最大の目的である市場心理が好転するかどうかについては疑問符がついたわけです。

 しかし、ドル相場ははっきりと反応しました。

 ドルは、対円では78円45銭と4カ月ぶりの円高水準を付け、対ユーロでは、ここのところギリシャやイタリアなど問題が続出して1ユーロ=1.38ドル台まで上昇していたのが1ユーロ=1.42ドル台まで下落しました。

 逃避通貨のスイスフランに対しても1ドル=0.81スイスフラン台まで下落しています。

 つまり、バーナンキ議長の発言は、米国株式などへの効果は今一つだったのに対し、量的緩和の弊害であるドル安ははっきりと引き起こされたのです。

 ただ、米国経済も過去2回の量的緩和にもかかわらず、失業率は9%を超ええたままです。何からの政策を出さなければならないため、3回目の量的緩和は十分可能性があるのですが、市場の反応はあまり思わしくないようです。

 くりかえしますが、量的緩和の最大の目的は、まず市場心理を好転させることなのです。それがうまくいかないと、ドル安や資源高などの弊害だけが残ることになるのです。

 しかし、米国は自国のことだけを考えるなら「ドル安」は別に弊害ではないはずです。

 公言はしていないものの、米国の経済回復のための処方箋の中には「ドル安政策」が入っているような気がします。

 これは2重の意味で円高を引き起こします。

 ドル安による直接的な円高と、世界中にあふれかえったドルを嫌った通貨分散による円買いによる円高です。

 実は6月10日に「70円台定着・新たな混乱の始まり」を書いたのですが、その後一向に70円台になりませんでした。しかしその時書いた理由に加えて、米国の「ドル安政策」が加わるのです。

 今度こそ70円台が定着するような気がします。

 日本も、国家的見地から対策を考える必要があります。つまり自国通貨切り下げ競争に参加するのか、円高と決め込んで円高メリットを享受するかなのです。この辺については、また改めて具体的に書こうと思います。

 今日は、少し短いのですがこの辺にします。