いま国策に合う政策とは?  その1

 ここのところ米国市場に関しては、連邦債務上限引き上げに関する動きに一喜一憂しています。もっと正確に言うと、上限引き上げの条件になる財政赤字削減をめぐって民主党と共和党の駆け引きが続いているのです。もちろん、これはそれぞれの政党の思惑が前面に出ており、両党の議会指導者(下院で多数を占める共和党はベイナー下院議長、民主党は元下院議長のナンシー・ペロシ院内総務)に対してオバマ大統領がどれだけ指導力を見せられるかと言うことなのですが、どうもいまひとつのようです。

 最終的には、必ず連邦債務上限は引き上げられます。万一、1~2日ずれ込んで政府機能が止まることがあっても、それは駆け引きの延長にすぎません。なぜなら連邦債務を引き上げると言う紙切れ(法案)自体には議員の負担がかかる話ではないので、この際出来るだけ言い分を通しておこうと思っているだけだからです。

 しかし、個人的にはこれでオバマ大統領の再選の可能性がかなり低くなったと思います。科学的な数字ではありませんが40%くらいになったと思います。

 ついでに言いますと、もし連邦債務上限が期限までに引き上げられなかったら(これは、1~2日政府機能が止まると言うことを意味するだけですが)、米国国債が急落すると言っている人が多いのですが、全く逆で金利は急低下します。なぜなら、もう国債が(暫くですが)発行されないので需給が良くなるからです。

 ユーロ市場の方も、相変わらず財政危機の構成国の支援方法を巡って一喜一憂しています。だんだん問題国が多くなってきていて、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルに加えて最近はスペインやイタリアまで問題視されています。

 まあ、ユーロについては今のままだと瓦解してしまうと個人的に予想しており、なぜ今の形にこだわるのかを探るために、「ユーロの行方・ヨーロッパに歴史」シリーズを書いていますので、暇な時に読んで下さい。

 米国市場とユーロ市場を見ますと、株式市場については当たり前の話ですが、それぞれの問題か解決するような兆し(解決するとは言っていません。財政赤字は絶対に減らないからです)が出るとそれぞれの株式市場は上昇し、逆の場合は下落します。

 為替市場についても同じで、米国の問題が解決しそうな兆しが出ると円安・ドル高になり、逆の場合は円高・ドル安になるのですが、株式市場とは違い明らかに円高・ドル安になる幅の方が大きくて、結果的に70円台が定着してしまいました。

 円・ユーロについても同じようなもので、7月初めの117円台から110~113円のレンジとなっています。

 つまり、円はドル・ユーロ双方からの逃避通貨であり、しかも趨勢としてはドル・ユーロ双方から資金が流れて込んでいるのです。米国の財政赤字問題やユーロ構成国の財政危機は絶対に根本的に解決しないので、ドルとユーロから長期にわたって資金が逃避通貨に流れ込むのです。

 つまり、世界的にみて円はスイスフランと並んだ「人気通貨」で、国内経済が小さいスイスに比べて、日本の「円」は買われる余地が大きそうなのです。

 日本のファンダメンタルズに関係なく円高は続きます。米国の問題もユーロ圏の問題も、全て「円高」の材料なのです。

 もうひとつ、米国株が200ドルあまり上昇した7月19日も、米国10年国債利回りは若干低下し2.89%でした。また、ユーロをどうしようと結果的に発行が増えるはずのドイツ10年国債の利回りも2.6%台です。

 つまり、財政赤字がいくら増えても国債利回りは下落するのです。財政赤字が増えると、因果関係はともかく景気が落ち込み、期待収益とリスク許容量が下がり、結果さらに安全資産である国債が買われるのです。これは日本で15年くらい続いている状況です。

 米国もユーロ圏でも日本と全く同じことが起こるのです。

 ここから出てくる日本の国策とは、世界的に「人気通貨」である円建ての、世界的に「安全資産」である国債を発行して、世界に供給してあげることなのです。これで復興財源にすれば良いのです。

 長々と書いて、結果はこの2行ちょっとでした。

 こう書くと、「償還財源はどうなる?」とか「もっと円高になるではないか?」という意見が出ると思います。これについては次回に書いてみます。