為替介入と追加金融緩和

 本日(8月4日)、大方のほぼ予想通りに為替介入と追加金融緩和が行われました。

 まず為替介入ですが、午前10時頃から断続的に入り、欧州時間でも介入したようです。単独介入で介入額は分かりませんが、夕方に3週間ぶりの80円台になり、介入直前から約3円の円安水準まで押し下げました。

 介入方法としてはかなり腰が入っており、珍しく合格点だと思います。

 為替介入には為替水準だけでなく、株価水準も押し上げると言う意図が必ずあるのですが、本日は懐疑的に見ていたようで、日経平均はわずか22円高に終わりました。その分明日は、海外市場に関係なくかなり値上がりするでしょう。

 まあタイミングとしては、米国の債務上限引き上げも解決し、ちょうど日銀の政策決定会合もある本日しかなかったのですが(そのために2日間の予定だった政策決定会合を、今日1日に前倒ししました)、今週金曜日には米国の雇用統計の発表もあるため、引き続き目が離せません。

 明らかな単独介入でドル円の水準だけ押し下げたので、円は対ユーロ、対豪ドル、対ポンドなどすべての通貨に対して円安となっています。FX投資家は利益が出たでしょうね。

 そういえばスイスフランは対円で103円にもなっています。スイス中央銀行もスイスフラン高を懸念するコメントを出していますが、世界最強通貨はスイスフランということになります。

 国土面積が日本の九州くらいで、人口が750万人、GDPが55兆円(それもスイスフラン高で膨らんだ数字です)の国なんですけどねえ。銀行立国ですが、今は守秘義務がほとんど守られず、日本の国税庁金融庁も情報を貰っているようです(尤も、貰っているのは情報だけで、肝心の金はほとんど返してもらっていないようですが)。

 さて、話を為替介入に戻しますが、基本的な目的は為替を円安水準にし、株価水準を引き上げ、国内のセンチメントを改善することです。

 多少こじつけですが、常に外貨を逆張りで買うFX投資家を、ヘッジファンドの餌食にするのではなく、たまには儲けてもらい、儲かった分で消費に回してもらうことも立派な景気対策なのです。

 ただし、海外の景気状況は依然として厳しく、このまま円安が定着することも考えられません。しかし、一旦水準を少し円安にしておけば、その後どういう対応を取るにも時間的・精神的余裕を持てることも事実で、そういう意味では一応効果のある介入であったと評価出来ます。

 しかし、ドルやユーロから世界的に資金が流出するという傾向は簡単に変わりません。従って何度も主張しているように、この流れのうちに「円の基軸通貨化」と「海外向け円建て国債の発行」を行うことが国策に沿うと確信しているのです。

 しかし、当局者の発言は、「とにかく円高阻止」のニュアンスしか読み取れず、本誌の主張に限らず国家的戦略が全く読み取れないには寂しい限りです。

 もう1つの追加金融緩和ですが、これも予想通り金融機関に長めの資金を貸し出す枠を30兆円から35兆円にし、資産購入枠を10兆円から15兆円にしました。

 重要なのはこの資産購入枠の15兆円のうちのETFとREITの買い入れ額で、多分合計1兆円から1.5兆円に増額されているはずです。

 これも8月3日付け「米国債務法案成立 日本はどうすべき?」でも書いたのですが、中央銀行はETFとかREIT市場に直接介入して相場を押し上げようとすることは、はっきりと言って「禁じ手」です。

 中央銀行の金融政策は、中央銀行の権限の範囲内で愚直に行うべきものです。それが中央銀行の権威を守り、傘下の銀行の姿勢を変えるかもしれないのです(幻想かもしれませんが)。

 いくら日銀当座預金残高を40兆円以上にしてみても所詮、銀行システムの中の話で、市中に資金が回るわけではありません。しかし、同じことなのかもしれませんが、現在月1兆8000億円の国債買い入れを、期限付きでも月3兆円くらいにしてみれば、さすがに中央銀行の強い意志が感じられ、いくら鈍い銀行でも姿勢が少しは変わるかもしれないのです(幻想かもしれませんが)。

 中央銀行は、国債を直接引き受けてはなりません。同じように国債や、せいぜい高格付けの社債以外のリスク商品を引き受けてはならないのです。

 結局、本日も金融市場の話題になってしまいました。週末も米国雇用統計があるため、土曜日昼のメルマガも金融市場の話題になると思います。来週までお待ちください。