伝説的レストランEl Bulli(エルブジ)の休業

 米国国債格下げの影響も目を話せないのですが、1日くらいは金融市場以外の話題にしてみたいと思います。

 世界中には、おそらく数千万単位のレストランがあるはずです。またそれらを紹介したり採点したりする本やサイトも無数にあります。

 その中で「世界最高のレストラン」の称号が最もふさわしいと言われているのが、スペイン・バルセロナ郊外のEl Bulli(エルブジ)です。

 バルセロナ郊外と言っても160キロも離れており、舗装もされていない山道も行かなければならないところにあり、1年のうちの7ヶ月(5月~11月)しか営業していない、わずか45席のレストランなのです。

 休日もあるので、年間7000人くらいしか入れないのですが、予約が何と年間100万件来るそうです。しかも予約を取るのが月に1回だけのようで、常に予約を受けていたら天文学的な数字になるはずで、どちらにしても宝くじ並みの確率でないと味わうことが出来ないレストランなのです。

 シェフはまだ40代のフェラン・アドレア氏で、今までも営業していない数カ月は、ひたすら新メニューの開発に充てているようです。

 スタッフはキッチンを入れて53人と、席数より多くいます。これはEl Bulliで働いていたという勲章を得るために、ほとんどが無給で働いているともいわれています。

 そのEl Bulliが2年間休業するそうです。休業といっても2年後に再開するのかどうかは正直分かりません。この天才シェフは、この2年の間にさらに料理を研究したいと言っているようです。

 フェラン・アドレアの料理を文章で説明することは不可能なのでやめておきます。興味のあるかたはネットで見て下さい。因みにコース料金は250ユーロ(3万円弱)で、30皿くらい出てくるそうです。

 私のような凡人は、つい全世界にライセンス供与して、それこそ100万人を受け入れれば儲かるのになあ、と思うのですが、天才はそう考えないようです。

 数あるレストランの格付けの中で、英国の「Restaurant Magazine」という何の変哲もない名前のグルメ誌が選ぶ「World’s 50 Best Restaurants」が最も権威があります。

 全世界を網羅しており、800人を超える自社社員が同一基準で採点しているので、かなりの信頼が置けるのですが、El Bulliはそこでも大半の年に第1位になっています。

 ところがEl Bulliは2011年版の「World’s 50 Best Restaurants」には入っていません。休業そのものは本年の1月にも発表していたからかも知れません。

「World’s 50 Best restaurants」には、日本のレストランも2つ選ばれていますよ。

 El Bulliの本当の休業の理由は分かりませんが、フェラン・アドレアが、事業としてのレストラン経営と、あくまでも料理を追求する姿勢が「相入れない」ことが分かっているのでしょう。多分その後は、レストラン経営以外の形で料理を追求していくのだと思います。

 翻って、日本のレストラン及びレストランチェーンで高収益会社(上場会社のみ)を選んでみますと、日本マクドナルド(直近期の経常利益270億円。以下同じ)、サイゼリア(140億円)、ゼンショー(160億円。「すき屋」「なか卯」などを展開)、ワタミ(67億円)、ドトール・日レス(72億円)、王将フードサービス(94億円)、スターバックス(60億円)、トリドール(54億円。「丸亀製麺」を展開)などです。

 なんだか、パターンが似ている会社ばかりが儲かっているのです。

 「食は文化」のはずですが、特に日本において「外食産業」のパターンが画一化され、「食」がだんだん貧しくなってきているのは「国」として衰退しているような気がしてならないのです。

 El Bulli休業のニュースを聞いて、つい、こう考えてしまいました。