世界の混乱の本質と日本の進むべき方向

 S&Pによる米国国債格下げの影響は思ったより大きかったようです。

 昨日(8月8日)のNY株式は、史上6番目の634ドル安となり、格下げされたはずの米国10年国債の利回りは2.34%まで下落しました。

 欧州でも財政問題が燻ぶり続け、中国の7月の消費者物価指数も6.5%と高く、世界中で株安が止まりません。

 世界中で「リスク資産」である株式、「金」以外の資源、ドル・ユーロ・資源国(特に豪州)通貨が売られています。逆に、相変わらず買われているのが「安全資産」の日米ドイツの国債と、通貨では円・スイスフランです。

 ドイツ10年国債も昨日(8月8日)に2.27%まで下がり、日本の10年国債も本日(8月9日)は一時0.975%まで買われました。

 これは、問題の本質が「世界の経済の減速」であり、財政赤字の増大とか「格下げ」ではないことを端的に現しています。

 最大の問題は、急減速している世界の経済が、「格下げ」や「ユーロの問題」などで財政赤字削減に向かわなければならないことなのです。

 1998年11月にMoody’sが日本国債を最上格から格下げしてから、日本は大蔵官僚の思惑もあってか、常に緊縮財政を強いられ、結果的に景気が長期的に低迷し、かえって財政赤字が急増してしまった道を、欧米ともが追っているのです。

 これでは、世界経済が長期に低迷してしまいます。

 先進国経済が低迷すると言うことは、資源への需要が減少して価格が下がり、新興国経済も低迷すると言う「悪夢のスパイラル」となるのです。

 そのきっかけとなったのが、常に格下げが遅れて事前警告の役目を全く果たさず、逆にパニックが始まってからこれでもかと格下げを行って混乱を拡大させ、それらの悪影響に対して一切責任を負うこともない摩訶不思議な格付け機関が、全く突然に米国財政赤字の「先行き」に注目して「唐突に」格下げを行ったからなのです。

 しかしもっと問題なのは、世界中がその決定にすっかり冷静さを失ってしまっていることなのです。

 1998年以来13年間も、同じ状態に陥っている日本としては、少しくらい先輩として「学習効果」を発揮しなければならないところなのです。

 8月7日付け「経済世界大戦がはじまる」でも書きましたように、ここはあまり他人(他国)を気にせず、日本のために最良の方法を進むことなのです。

 菅首相の後釜に手を上げた野田財務大臣が、首相になれば「真剣に財政再建に取り組む」と言っているのですが、これではお話になりません。

 世界中の資金が円とスイスフランに向っている今こそ、円を国際化し、世界中に円建て国債を引き受けてもらい、円をドル・ユーロとならぶ「基軸通貨」に押し上げる大変なチャンスなのです。

 8月7日付け号外版「米国国債格下げへの対処」も、ぜひもう一度お読みください。

 分かりやすく言えば、世界中が買いたい円(だから円高になっている)を、世界中が買いたい「安全資産」である国債を発行して供給することなのです。世界中から感謝されて、日本も財源を確保でき、世界中が出来ない積極財政と景気刺激を行うのです。

 それが1998年以来、13年間も間違い続けた日本の経済政策を見直し、日本経済を浮上させ、世界における発言力を取り戻すチャンスなのです。

 別に、この意見が絶対に正しいと言うつもりもありませんが、少なくとも日本経済を浮上させようとする候補でなければ、次の首相になってほしくないのです。