史上最高値を更新した円 その対策は?

 昨日(8月19日)のNY時間に、円が対ドルで一時75円95銭と史上最高値を更新しました。

 76円近辺に大量のドルのストップ売りオーダーがあると言われていたので、それを狙った仕掛け売りだったようですが、どうも空振りに終わったようでNY引け値は76円50銭近辺でした。

 しかし、7月の中旬から70円代が定着し、8月4日の介入を除けばずっとドルがじり安となっており、このままではいずれ70円台前半にも入ってしまいそうです。

 一方、スイスフランは上昇が止っています。スイスフランをユーロに連動させると言うことはさすがに噂に過ぎなかったのですが、立て続けに金融緩和を行い、ゼロ金利の他に先日、中央銀行の預金残高(日本の日銀当座預金残高に相当)を2000億スイスフラン(20兆円)にまで引き上げました。

 8月13日付け「スイスフランの変調」をご参照ください。

 日銀の当座預金残高はせいぜい40兆円くらいなので、GDPが日本の10分の1くらいのスイスとしては、異例ともいえる思い切った金融量的緩和なのです。

 だからスイスフラン高が止まったのです。

 日本のとれる方法も、介入と金融量的緩和しかありません。しかしやり方が正しければそれなりの効果が出るものなのです。

 8月4日の大量(4兆5000億円程度)介入は、そうは言っても一定の円高になれば介入が入るとの予想を市場に与え、一方的な円買いを抑える効果が出ているはずです。だからこの辺の水準で止まっているともいえるのです。

 効果的な介入とは、大量の資金を使うことではなく、介入への期待感(恐怖感?)を市場に与えることにより円買いをコントロールすることなのです。ここは当局がうまく市場をコントロールする高度な対話能力が必要なのです。

 日本の財務大臣民主党党首選で頭がいっぱいのようですが、財務大臣の仕事も忘れないようにお願いしたいものです。

 もうひとつの金融量的緩和の方ですが、スイスを見ていても分かるのですが、日本はやはり絶対的な量が足りず、これが根本的は円高の原因なのです。

 金融政策は中央銀行の権限を決して越えてはならないのですが、同時に権限の範囲内で大胆に行わなければならないのです。

 しかし、日銀当座預金残高をこれ以上増加させても、傘下の銀行は信用創造機能を全く放棄しているため全く効果が期待できません。

 そこで、現在月額1兆8000億円の国債買い入れ額を、一時的にでも倍増の月額3兆6000億円くらいにすべきなのです。これこそ中央銀行の金融政策の正攻法なのです。

 金融政策というものは、国内外へのアナウンスメント効果があってこそ、実際の効果が出るものなのです。

 そこまで日銀が大胆な政策をとれば、まず少しくらいは景気回復期待が出て、銀行の信用創造機能が少しでも回復し、海外からの日本を見る目も少しくらい変化して、一方的な円買い・日本株売りが止まるかもしれないのです。

 それが重要なのです。

 わずか1兆円くらいのETFとかREITを買って、あわよくば株価や不動産市況を上昇させようという安直な方法は中央銀行(日銀)の仕事ではなく、かえって権威を損なうのです。

 方法が介入と金融緩和しかなくても、やり方が正しければ円高が止まるのです。円高が止まれば国内景気に対する心理も好転するかもしれないのです。

 しかし、本格的な景気回復には金融政策だけでなく、財政政策も不可避なのです。これについては繰り返しませんが、以下の記事をご参照ください。

 8月7日付け号外版 「米国国債格下げへの対処

 8月10日付け 「世界の混乱の本質と日本の進むべき方向