次期首相の資質 その3

 本日(8月29日)、民主党の党首選が行われ実質的に次期首相が選ばれます。

 それにしても候補者が出そろったのが26日で、初めての共同記者会見が27日で、いかにも人物とか独自の政策以外のところで候補が選ばれたことがわかります。

 記者会見では、当然本誌が希望した「村山談話」などへの対応とか、「靖国神社」へ参拝するかなどの、日本人の尊厳にかかわる本質的な問題などが取り上げられるはずがなく、また本誌が強く進めている「円の基軸通貨化」とか、復興財源として「円建て国債」の発行などが議論されることも全くありませんでした。

 8月18日付け 「次期首相の資質 その1

 8月19日付け 「次期首相の資質 その2」もご参照ください。

 まあ代表に選ばれる要素が、候補者個々の能力とか政策ではなく、単純な派閥の数集めと、それにともなう政権発足後のポストの「約束手形」だけなのですが、一応、財政問題に絞って主張を比べてみましょう。

 財務大臣の野田氏は、さすがに財務官僚の「指導」がよく行き届いているようで、消費税引き上げを含む増税方針に賛成しています。

 野田氏は、靖国問題でも唯一積極的な意見を述べているものの、自身は閣僚として参拝したことがなく、増税論でも自身の信念でそう言っているのかを知りたいところです。

 小沢派が急遽指名して、一躍有力候補者に浮かび上がった海江田経済産業相は、「(復興を含む)財源は国債で賄い、財政出動に伴う(景気回復による)税収増で負担できる」という奇怪なことを言っています。

 まあ、有力候補になるとだれも思っていなかったのと、財務省が目の敵にする経済産業大臣だったので、財務官僚の意向が届いていなかったのでしょう。

 海江田氏と並ぶ有力候補の前原氏は、一応「増税すればデフレを深刻化させる」と正論を述べたものの、「(財源は)景気回復時に考える」と、これまた安直そのものです。

 ほかの候補者は可能性が低いのですが、馬淵氏は復興財源について「60年償還の国債で賄う」という持論(?)を展開していますが、建設国債はもとより60年で償還されるようにできているのを知らないようです。

 もし、本当に一回で60年償還国債を出そうとしているのでしたら、いたずらに発行条件(利率)を悪くして募集を難しくするだけで、一切メリットはありません。

 財務官僚は絶対に認めないと思うのですが、どうせやるなら無利子の相続税減免の国債を出せばよいのです。

 償還期限は、60年だと相続を受けたもの者も死んでしまうので20年くらいにして、償還時に減免された相続税相当額(難しいのですが15~20%程度が限界か)を差し引いて償還されます。つまり相続時に、この国債は相続税対象財産から差し引かれるのです。

 ついでに言えば、この相続税相当額は、発行時に税収の前受けとして国庫に入れてしまえばよいのです。当然換金性は落ちますが、元本から税金相当額を差し引き、そのときの市場金利で割り引けば流通価格は計算できます。

 というのも、財務官僚の中には「いまの1400兆円の国民金融資産の大半はお年寄りが保有しており、向こう20年くらいでみんな相続税対象となり、国債発行残高の大半が賄える税収になる。」と考えている不届き者がいるはずなのです。

 しかし今のままでは、海外の怪しげな投資物件や「相続税を避けるスキーム」に流れてしまうなど、決して財務官僚の思惑通りにならない可能性があるため、今から相続税の先取りの方法を考えておく必要もあるのです。

 相続税の先取りと、復興財源の確保で一石二鳥になるはずなのですがね。

 別に、この案も私の「思いつき」で、「これが良い」と言うつもりもありません。しかし、官僚が絶対に考えないようなアイデアを出して、逆に官僚を説得できるような資質も必要なのですが、無理でしょうね。

 最後に、記者会見を見ていて思ったのですが、小沢氏に関しては、支持された海江田氏も含めて非常に後ろ向きの発言が目立ちました。

 なぜ、「この未曾有の国難に際し、政権与党としては国民から選んでいただいたすべての議員が必死に働いて国民の付託にこたえなければなりません。当然小沢氏にも職責を果たしていただきます。」などと言えないのでしょうか。

 次期首相は、すべての問題に関して専門家である必要はなく、要するに「日本のため・国民のため」の方向づけができる根本的な「バランス感覚」・「国際感覚」・「愛国心」を兼ね備えた候補者でなければならないのです。

 まあ、見回す限りはあまり期待できませんが、でも結果を注目してみましょう。