日米欧それぞれの問題

 本日(9月11日)は同時多発テロからちょうど10年目で、色々書きたいことがあるのですが、とりあえず世界中で大混乱だった週末の金融市場の話題を優先することにしました。

  まず、ユーロ圏ではギリシャの支援を巡って域内で足並みが揃わなくなっており、同時に域内問題国の国債を大量に保有する欧州銀行株が大幅に下落するなどで、週末(9月9日)のユーロ圏主要国の株式が軒並み3~5%の下落となり、通貨ユーロも下落しました。

 ユーロはNY終値で、1ユーロ=1.365ドル、対円で105円90銭程度ですが、一時105円30銭と10年ぶりの円高となりました。

 今まではドル安の時はユーロ高で、ドル高の時はユーロ安だったので、ユーロは対円では比較的安定していました。

 昨年6月にギリシャ危機が始まった時に、瞬間1ユーロ=1.20ドルを割り込んだのですが、対円では昨年8月に瞬間106円を割り込んだだけでした。

 しかしここからは、対ユーロでも円高が進みます。今までと違いユーロ安となってもドル高にもならないからです。

 歴史的には、2000年10月に1ユーロ=0.825ドル、対円で90円割れが最安値です。

 循環的問題である経済問題を抱えたドルが対円で史上最安値を更新しているのですから、構造的問題を抱えたユーロが対円で高いままのはずがないのです。

 1ユーロ=90円台央になると思います。

 現在の仕組みにこだわる限り、ユーロは必ずハードランディングが必要となります。歴史的に見て、対外債務が膨らんだ国は通貨の切り下げしか方法が無いからです。ギリシャ等にとっては、明らかに身の丈を超えたユーロに参加しながら財政問題を解決する経済成長が出来るはずがないからです。

 それから、1ユーロ=1.2スイスフランを上限に無限に介入すると発表したばかりのスイスフランは、当然このユーロ安の恩恵も加わり、効果が倍増しています。

 スイスフランは対円で87円台と、今週初めの98円台、一か月前の高値108円台から劇的に値下がりしています。きっとユーロの下落も予想していたのでしょうね。

 そういえば、スイス中央銀行のヒルデブランド総裁はヘッジファンド出身のようです。日銀の副総裁くらいにスカウトしてみたらどうでしょうか?それだけで世界の「円」を見る目が変わると思いますよ。

 これを受けてNY株式も300ドル余り下落し、11,000ドルを割り込んでしまいました。

 欧州問題だけではなく、オバマ大統領の景気・雇用対策が期待ほどではなく、また議会(下院)を通すことも困難と思われ失望感が広がりました。

 その景気・雇用対策ですが、雇用促進減税などを盛り込んで景気回復に対するインセンティブも含んでいるのですが、現行の減税を継続してその数字も合計額(4470億ドル・35兆円)に入れて総額を膨らませており、何だか日本の景気対策案に似てきました。

 米国の日本化(もちろん悪い意味で)が進んでいるのです。

 しかし、これで米国も今月の20日・21日のFOMCで何らかの追加緩和をすることがほぼ確実になりました。

 一方、日本は、9月7日の日銀政策決定会合を、全く無策で終わらせてしまっています。当然、一層の円高圧力に見舞われるはずです。

 週末に南仏・マルセイユでG7(財務相・中央銀行総裁会議)が開催されたのですが、それぞれ足元の問題を抱えた主要国が集まっても、実のある合意が出来るはずがありませんでした。

 日本の安住新財務大臣が「円高は投機的な偏った動きで、必要とあれば断固とした措置を取る」と持論(もちろん財務官僚の)を披露したようですが、全く相手にされなかったようです。

 円高は「投機的で偏った」動きなのではなく、日本の無策による「世界中からの実需による」動きであることを早く理解してくれなければ、日本は「(国内景気のための)世界の通貨切り下げ競争」で一人負けを続けることになってしまうのです。

 最後に、週末に経済産業大臣が失言で辞任しました。この人は旧社会党なので「村山談話は日本の恥」くらい言って罷免されたのだったら誉めてあげたのですが、程度が低すぎますね。

 しかし、よく考えたら政権与党の民主党には、旧社会党・旧民社党・旧公明党・旧日本新党、それから労組出身者・日教組出身者・タレント・政治記者などイデオロギー(あればの話ですが)が全く異なる議員の集まりで、そもそも一丸となって進むことなど全く不可能であることに改めて気付きました。

 日本の一番の問題は、これなのかもしれません。

 明日は、同時多発テロについてです。