国際通貨体制についてもう一度考える  その4

 これからの国際通貨体制は金本位制に戻るわけにもいかず、ドルとユーロに円とポンドを加えた複数基軸通貨制に移行せざるを得ないと思われます。

 結局、世界が流動性不足に陥る事態を避け、かつそれぞれ問題のある複数の通貨を基軸通貨とすることで、全体として信用と秩序を維持していかなければならないのです。

 基軸通貨とは、準備資産・決済・投資・融資・起債など、すべての国際的な経済活動に使用されている通貨のことで、ドル・ユーロ・円・ポンドの4通貨は、現在の世界の外貨準備を構成する通貨の上位4通貨です。

 2010年末の世界の外貨準備は9.3兆ドルで、うち通貨別構成が判明している5.1兆ドルのうち、ドルが61.4%、ユーロ26.3%、円3.8%、ポンド4.1%で、スイスフランなどを含むその他通貨は4.4%となっています。

 ユーロがスタートした1999年のユーロの構成比は17.9%で、現在は8.4%も増えており、逆にドルのピークは2001年の71.5%で、10.1%も減っているのです。また円は1995年(前回、円が最高値をつけた年です)には6.8%もあり、現在は半減しているのです。

 ちなみに、米国・ユーロ圏・日本・英国のGDP合計に占める日本のGDPの割合は約16%です。つまり、基軸通貨とは、準備資産・決済・投資・融資・起債など、すべての国際的な経済活動に使用されるもので、円はそれぞれの国際的な経済活動の約16%に使用されるところまで国際化しなければならないのです。

 外貨準備を含む準備資産は、基軸通貨の1つの役割にすぎないのですが、その中でさえ円は減少して3.8%しかないのです。さらに円は、準備資産以外の国際的な決済・投資・融資・起債などに占める割合は、たぶんもっともっと低いはずです。

 つまり、円は日本の経済規模に比べて、円が国際的に使用されている比率が非常に低く、日本は規模の比較的大きなローカル経済で、円もローカル通貨にすぎないのです。

 日本経済と円が真の国際化(つまり世界中から認められる国際化という意味です)をしていないので、円が独歩高し、日本経済が閉塞感から抜け出せないのです。

 たとえば、日本国債の日本国内における引き受け余力が少なくなっていると心配してみるとか、この不景気のど真ん中で9兆円もの復興委増税をしなければならないなどは、すべてこの国際的な発想が抜けているからなのです。

 つまり、世界の外貨準備のうちの通貨別構成が判明している5.1兆ドルのうち、前述の16%が円になれば8000億ドル(60兆円)にもなります。全部が債券投資に回るという訳でもないのですが、膨大な日本国債を含む円資産の購入余力となるのです。

 もちろん、国際債券市場はもっともっと大きいのです(世界の債券市場全体の規模は66兆ドルあると言われています)。

 だから、円が基軸通貨として認められるまで国際化するということは、これだけ膨大は日本国債を含む円資産の購入余力が生まれるのです。

 確かに戦後、ドルが基軸通貨の地位を確立したのは、軍事施設を世界中で維持したり、経済援助を行ったり、どんどん輸入を増やしたことにより、世界中でドルの保有が進んだことがあります。

 日本はまだ一応、経常収支が黒字なので、円がどんどん海外に出て行くといった状態ではありません。

 したがって、基軸通貨化は円建て国債を発行するとか、邦銀が海外で円建て融資を増やすなどして(難しいでしょうが)、海外における円の存在感を増やしていく必要があります。

 円の基軸通貨化は、日本経済を真に国際化することが目的で、日本経済がローカル経済のままで沈没してしまうことを避けるためにも国を挙げて取り組む必要があるのです。

 そのためにまず取り組むべきなのが円建て国債の発行で、国際市場における円の存在感を増やすとともに、日本の財源不足を補うまさに一石二鳥の方法なのです。

 円が基軸通貨化することの為替レートに与える影響は、強弱両方あります。たとえば、円建て国債を発行すれば購入者の一部は円を手当てするため円高要因となります。

 また、邦銀が円建て融資を海外で増やせば、借り手は円を売って自国通貨などで使用するなどするため円安要因となります。

 4回に分けて国際通貨体制についてもう一度考えてみたのですが、これで一応終わりとします。ただ正直言って、非常に考え足りていないと思います。

 再度チャレンジする予定です。