日本政府の欧州基金債追加購入について

 久々にユーロについて書こうと思います。

 ユーロ圏経済は、言うまでもなくギリシャのデフォルトリスクが増大しており、またアイルランドやポルトガルなども控えており、間違いなく世界金融危機の火元になります。

 通貨のユーロも、今週初めに1ユーロ=1.32ドル割れ、対円でも101円割れまで売られました。今年の高値は1ユーロ=1.49ドル台、対円でも123円台(ともに4月)なので、かなりユーロ安が進んでいることになります(4月時点のドルの高値は85円台です)。

 さて、ユーロは基本的には現状の仕組みを維持するために、ユーロ構成国で問題を抱えている国を、財政再建の努力と引き換えに支援する方法に固執しています。

 ユーロの現在の仕組みが壊れるコストの方が大きいと考えているのですが、個人的にはかなり懐疑的です。

 9月15日付け「劇的に劣化する通貨・ユーロ」を御参照下さい。

 ユーロ圏の当局は決して認めないと思いますが、通貨・ユーロの下落は一番コストの少ない処方箋であり、実際は大歓迎しているはずで、ユーロは長期的に下落すると思います。

 ユーロの歴史的安値は発足直後の2000年10月の1ユーロ=0.825ドル、対円では90円割れで、ドルが歴史的安値を更新している中でユーロの下げ余地は非常に大きいのです。

 さて、日本政府が欧州金融安定化基金(EFSF)の発行する債券を追加購入するそうです。

 ESFSの発行する債権とは、4400億ユーロあるEFSFの融資枠の資金を調達するもので、ユーロ圏17カ国の政府保証がついています。尤もギリシャ・アイルランド・ポルトガルといった既にEFSFの融資を受けている国は、さすがに政府保証に参加していない(出来ない)ため、実際は発行額の50%以上がドイツ・フランス両国の保証ということになります。

 まあ、元本が返ってこないリスクはあまりないようなのですが、日本政府は既に今年の1~6月に27億ユーロ(新聞では2700億円となっていますが、当時の為替レートで取得原価を推定すると3050億円ほどになります)を購入しています。

 これは、発行されたEFSF債の約2割に相当します。しかし今のところの発行額は130億ユーロにすぎず、EFSFの規模からしてもっと巨額の債券が発行され、当然日本政府の購入も膨らんでいくはずです。

 ここでいう日本政府とは、為替介入などを行う外国為替資金特別会計のことで、原資は短期国債の発行です。現在でも100兆円をはるかに超える短期国債を発行しており、900兆円ともいわれる日本の国債発行残高にしっかりと含まれているのです。

 従って、このEFSF債の購入とは、新たなユーロ買い介入に他ならないのです。

 ここで、巨額の含み損を抱えた為替介入の是非を問うつもりはありません。最大の問題は、この短期国債を発行して国内の資金を吸収してまで購入する外貨(正確にはその外貨で購入する外貨資産)を何ら外交カードに使っていないことです。

 これで、諸外国や格付け機関から、日本の国債発行残高が大きすぎると批判され、国内では財務官僚によって歳出カット・緊縮財政を強いられている中で、(短期)国債発行を原資とした「貴重な」外貨資産をしっかりと国民の生活に役立たせなければならないのです。

 今後ともEFSF債の購入が続くこと言うことは、国債増発が出来ないため震災復興財源まで増税で賄うという窮乏生活を日本国民に強いておきながら、働かないギリシャの公務員の給料とか年金のために気前よく資金を「国民の同意を得ずに」援助していることなのです。

 そこで、日本政府がEFSFの発行する債券を引き受けるときは、同額の日本国債を分担してユーロ構成国に引き受けてもらうことを主張すべきです。

 とりあえず短期国債でいいのです。

 なぜなら、ユーロ構成国は分担してEFSF債を保証するため、日本がEFSFのクレジットリスクと、期間リスク(EFSF債の償還年限は不明ですが、少なくとも日本の短期国債よりはるかに長い)と、ユーロの為替リスクを引き受けるのですから、世界最強通貨で高い流動性を持つ日本の短期国債を買ってもらうことは、大サービスなのです。

 そして、これが円の国際化・基軸通貨化に役立つのです。

 だれも指摘しないと思いますので、書いてみました。