国家戦略の無い日本はどうなる?

 先日、ブログ開始から1年経過のお礼記事を書きましたところ、数多くの温かい励ましのコメントを頂戴しました。本当にありがとうございます。今後とも頑張って書いていきます。

 さて、そこで書き忘れたのですが、「闇株新聞」はテーマを決めて掘り下げていく記事が多いので、日常のマーケットに対応した記事がどうしても少なくなります。

 マーケットに急激な変化があった時などは、できるだけタイミングを失わないように「メルマガ」を発信するようにしています。また、特に変化がなくても最低週一回・土曜日の昼頃に発信しています(今週は1日遅れました)。

 さて、先週末のEC首脳会議のポイントは3つあって、「欧州金融安定化基金(EFSF)の機能強化」「民間保有のギリシャ国債を50%減免」「欧州銀行の狭義の中核自己資本比率を9%にする」です。

 つまり、あくまでもユーロの現状の仕組みを維持し、危機対応能力を強化するということです。その結果、ギリシャや南欧の債務問題国は、身の丈を超えた強さを持つ通貨(ユーロ)と国内の高金利(ギリシャで2桁、イタリアでも6%)と、域内銀行から与信を削られる中で国家債務を減らしていかなければならないのです。

 絶対に不可能です。

 ついでに言えば、今回の合意で通貨・ユーロが上昇してしまったため、債務問題国だけでなくドイツやフランスなどの支援する側の国にとっても経済面からダメージとなってしまうのです。

 今回のEC首脳会議合で最大の恩恵を受けたのが米国です。追加金融緩追を匂わせただけでNY株式が急上昇し、次回のFOMC(11月1~2日)では追加金融緩和のカードを温存できそうです。

 さて、ここで問題にしたいのが日本の対応です。

 確かに、10月27日に日銀は追加金融緩和を発表したのですが、現在50兆円の「資産買い入れ基金」を長期国債分として5兆円増額させただけでした。

 まあ、「景気の下振れリスクに対応」(日銀総裁)したそうですが全く他人事で、円は連日の史上最高値をつけ75円台が定着してしまいました。

 10月27日付け「やっと追加緩和しそうな日本銀行」でいろいろ書いたのですが、ほとんど実現しませんでした。

 他人事なのは日本銀行だけではありません。

 たとえば、先週機能強化を決定したばかりのEFSF(欧州金融安定基金)の最高責任者が、早速北京に飛び中国財政省に資金提供を頼んだそうです。

 EFSFの機能強化と言っても、債券発行などによる外部からの資金提供が不可欠なのです。しかし中国政府もしたたかで、明らかに3.2兆ドルの外貨準備を「外交カード」に使おうとしています。

 日本は、いち早くEFSFへの資金協力を表明しているため、EFSFの最高責任者も来ませんし、別に感謝もされていません。財政再建を声高に叫び、復興財源化まで増税で賄おうとしている財務省は、同じ「国民負担」であるはずの「EFSF債購入」は、気前よく進めているのです。

 日本も1.1兆ドルの外貨準備(断っておきますが、これも国債を財源としているため「国民の財産」であり、財務省が勝手に使って良いものではないのです)を、どうして日本のための「外交カード」に使おうとしないのでしょうか?

 また、あまりニュースになりませんでしたが、日本は韓国に700億ドルもの外貨提供を申し入れています。韓国が下落するウォンの買い支えのための外貨(主にドルと円)を提供するそうなのですが、韓国は3000億ドルもの外貨準備があり、かつ国策としてウォン安を進めているはずのため、いったい何のための「気前良いサービス」なのか全く不明です。

 日本という国は、考えてみると「国家戦略」というものが全くありません。「国家戦略担当大臣」というポストがあるのですが、何をやっているのか分かりません。

 日本は官僚が「省益」を優先し、日本銀行は「独自性」を優先し、それに「日本以外」の利益を代表するわけのわからないところまであり、それに大手マスコミが全く機能していないのです。

 話が変わりますが、経済産業省幹部のインサイダー取引事件ですが、今度はNECエレクトロニクスインサイダー取引で利益を20万円あげていたと、大々的に大手新聞がリーク記事を書いています。

 これは10月21日付け「あの経済産業省幹部のインサイダー疑惑はどうなった?」で書きましたように、大物検察庁OBの戦いなのですが、新たな局面に入ったのでしょう。

 「国家戦略」より「自分の立場」が大事なようです。