オリンパス事件の今後の展開  その1

 相変わらずオリンパスが世間の関心を集めてのですが、現時点で伝えられている状況から今後の展開を時系列的に予想してみましょう。

 時間的に一番早いのが第三者委員会の調査報告書で今週中に発表されます。第三者委員会の報告書はあくまでも任意調査で法的効力はないのですが、オリンパス事件に対する「社会的認識」や、今後の「捜査方針」に重要な影響を与えます。

 伝わってくる数少ない情報で内容を推測することは難しいのですが、先日「暴力団組織へ資金が流れた」という一部報道に対しては、素早く「そういう事実はなかった」というコメントを発表しており、基本的にはオリンパス側に立った「穏便」な調査結果になるようです。

 調査報告書では、当然2007年以降に海外ファンドに「飛んで」いた損失を国内3企業の「高値」買収とジャイラス買収に伴う「高額」報酬で「消した」経緯が中心となり、そこで中心的役割を果たしたのがオリンパスの山田常任監査役(元・副社長)と森・元副社長であるとなっているはずです。

 調査報告書の最大のポイントは、歴代経営陣(下山・岸本・菊川各氏で、それぞれ「全く知らなかった」・「よく覚えていない」・「詳細を知ったのはごく最近」などと発言しているようです)の関与度合をどう判断しているかです。

 わかりやすくいえば、山田・森両氏が「あくまでも個人の判断で損失隠しを続けていた」と「判断」されるかどうかですが、個人的にはそうなると思います。

 その次が、12月14日が期限となっている過去5年分の有価証券報告書の訂正と、遅れている2011年度9月期の決算発表です。間に合わなければ上場廃止となるのですが、間に合わせるようです。

 訂正するのは過去5年分の有価証券報告書(2007年3月期~2011年3月期)だけで、問題とされている企業買収や高額の報酬を支払った時期は含まれています。

  しかしそれ以前については、1990年ころまで遡って決算数字だけが修正されるようで、それではそもそも損失が発生して巨額化して行った経緯や、過去どういう損失隠しをしていたか、もっと言うとそもそも運用による損失だったのかとか、損失隠し以外のところに資金が流れていなかったか、などは解明されないことになります。

 それでは、訂正対象となっている2007年3月期から2011年3月期までについてのポイントを考えてみましょう。

 まず、2007年3月期に計上されている「損失を隠すために水増しされていた600億円の預金(外貨預金のようです)など合計1270億円の資産」が、その後の国内3社の「とんでもなく高値」の企業買収と、ジャイラス買収に際して支払った「とんでもなく高額」の報酬などに「支払われた」ことになっています。

 これを訂正するということは、その水増しされていた(要するに、実際は存在しなかった)1270億円の「資産」を2007年3月期に遡って「消滅」させ、「とんでもなく高値」の企業買収と「とんでもなく高額」の報酬を、本当に国内3社の企業買収に支払った金額と、本当にジャイラス買収に際して支払った報酬(これも決して安くないはずです)に修正することになるはずです。

 この間に「のれん代」が334億円過剰に計上されているようなので、これは修正されるものの、それ以外の最新の決算数字は従来の予想から大きく変わらないはずです。

 つまり「水増しされていた資産」が計上されていった具体的手法や、その間に監査法人がどのような監査をしていたなどが、その「犯罪性」を含めて一切「不問」になる可能性が強いのです。

 まあ、要するに粛々と5年分の有価証券報告書を訂正し、それをもとに2011年9月期の決算を発表して無事上場維持となるはずです。

 証券取引等監視員会も課徴金納付を金融庁に勧告することになるのですが、その訂正の期間にオリンパスは資金調達をしていないため、基本的に課徴金の額は「粉飾額」に一定比率を掛けた額になります。ただ「粉飾額」の特定が非常に難しいような気がします。

 そして最後が、損失隠しを主導したとされる山田・森両氏の「刑事責任」をどうするかなのですが、年内は何も起こりません。12月10日を過ぎて「逮捕」すると「捜査当局」が正月休みを取れなくなるからです。

 続きます。