オリンパス第三者委員会調査報告書を読んで

 本日(12月6日)、オリンパスの第三者委員会の調査報告書が、オリンパスを通じて開示されました。

 どうでもいいことから書きますと、第三者委員会の調査報告書の中には社内外の関与者の実名も、将来の捜査のための重要情報も含まれている可能性があるため、そのまま開示することに問題があると思うのですが、受け取ったオリンパスの判断で(というか、よく考えずに)全文を開示したようです。

 せっかくなので全部(200頁近くもありました)読んで、気の付いたところを書きます。

 まず、不正な会計処理で隠していた損失合計1177億円に対して、これを含めて損失の解消に使った費用が1348億円とされています。

 つまり、損失隠しにかかった費用が171億円もあるということです。この中には本当に必要な法務費用などや、ジャイラス買収に際して本当のアドバイザー(特定されていませんがワッサースタイン・ペレラです)に支払った費用の1220万ドル(当時の為替で12億円)なども含まれているのですが、それにしても150億円以上の「株主資本」が「外部関係者」によって山分けされたことになります。

 それから現在も未処理の「のれん代」が416億円と、従来の報道よりさらに膨らんでいました。これは12月14日に発表される(はず)の2011年9月中間決算で「全額償却」されるはずです。

 あとは、下山・岸本・菊川の歴代社長の「関与」については、少なくとも「知りうる」立場にいたと断定しています。

 監査法人の責任についても、前任の「あずさ」・現任の「新日本」とも「問題なしとせず」としながらも「責任あり」とはなっていません。特に、一番重要と思われる「不正に水増しされた資産」を発見できたはずの「外銀に対する残高確認」については、明らかに「担保に供しているかどうか」の確認を怠っているにもかかわらず「やむを得なかった」で済んでいます。

 150億円を山分けした多数の外部ブローカーのうち、特に重要な役割を果たした中川昭夫氏(佐川肇氏も併記されています)と横尾宣氏のみ実名で書かれていますが、その責任を問う表現にはなっていません。

 それから「反社会的勢力」とのかかわりと、社内関係者による「私的流用」については、「ない」と断定しています。

 ただ、「不法行為に加担した関係者は、その法的責任を追及されるべきことを指摘せざるを得ない」と付け加えられているのですが、ここでいう「不法行為に加担した関係者」とは、流れをよく読んでみても山田・元常任監査役と森・元副社長の両名のみが該当するように書かれています。

 つまり、極めて予想通りというか危惧した通りの結論なのです。

 また、隠していた損失をどのようにて解消したかについては非常に懇切丁寧に説明されているのですが、私が一番知りたかった「そもそも損失はいつ、いくら発生して、どのように巨額化していったのか」については、ほとんど満足すべき説明がされていません。

 本当に「運用による損失」だけだったのかという漠然とした疑問があるのです。トレーダーとしての「違和感」です。

 1990年以降の損失額については、1995年頃に数百億円、1997年頃に950億円、1999~2000年頃に960億円と書かれているだけです。

 その発生原因についても大半が特定金外信託(特金)による運用損とされていますが、その残高のピークが1997年3月の450~470億円とされており、残高以上に損は出来ないため、せいぜい300億円程度の損失ではなかったかと思います。

 また、スワップ取引などのデリバティブ取引や、金利先取り商品での損失もあると書かれていますが、どうして海外への「飛ばし」が始まった1999年頃に960億円もの損失になったのかについての具体的な説明が何もありません。

 もし、ここに「闇」があったとしても、今回も決して表に出ないまま終わってしまいそうなのです。

  最後に、本日(12月6日)付けで東京証券取引所オリンパス株を監理銘柄(審査中)に追加指定しています。これは調査報告書を受けた本日のオリンパスの開示に、決算数字に重大な変更があることを予想させる内容が含まれていることによる機械的な措置です。

 12月14日に、2011年9月期の決算発表と過去5年分の有価証券報告書の訂正が行われれば、問題なく解除(上場維持)となるはずです。