オリンパス決算発表・見落としていた重大事実  その1

 本日(12月14日)、オリンパスが遅延していた平成24年3月期第2四半期報告書と、過去5年分の訂正報告書を関東財務局に提出しました。

 これを受けて東京証券取引所は、オリンパス株式を明日(12月15日)付けで監理銘柄(確認中)の指定から解除すると発表しました。もう1つの監理銘柄(審査中)については、引き続き決算訂正の「悪質性・重大性」などを審査することになります。

 まず、訂正された2011年3月末の貸借対照表から見ていきますと、純資産が訂正前の1668億円から1155億円へと513億円減少しています。

 内訳をみると「のれん代」などの無形固定資産が2484億円から2059億円に425億円減少しています。これはジャイラス関連で未処理の「のれん代」が416億円あると第三者委員会の調査報告書にもありましたので、ほぼ符合します。

 簿外に「飛ばして」いた損失を、高値の企業買収や高額の報酬などを「新たに」支払ったことにして「消した」わけで、それだけでは2011年3月時点での純資産は変わらないはずで、新たに発覚した未処理の「のれん代」だけが純資産の減少になるのです。

 実際の純資産の減少は513億円だったので、そこから100億円近く合わないのですが、この検証は後回しにします。

 さて、ここからが問題です。

 新たに発表された2011年4月~9月の報告書では、この間の営業利益が175億円・経常利益が94億円と、前年同期のそれぞれ223億円・192億円に比べて大きく減少しています。しかし、その間の円高(特に対ユーロ)や東日本大震災の影響を考えると、まあ健闘している方かなと思います。

 もちろん、今回の騒動は10月14日のウッドフォード社長(当時)の解任から始まっているため、この期間は全くその影響はありませんでした。

 しかしこの間に、映像事業用資産の減損を160億円と、繰り延べ税金資産の取崩しを190億円計上したため、最終損益が323億円の「巨額赤字」となったのです。

 その結果、2011年9月時点での純資産が459億円と、同年3月時点の1155億円(訂正後)から696億円も減少してしまったのです。最終損失323億円のほかに何が純資産を減少させたのかは、これも検証を後回しにします。

 しかし、まだ2011年9月末現在の貸借対照表には、有形固定資産1224億円(同年3月末現在1413億円)、無形固定資産1888億円(同、2059億円)、投資その他1156億円(同、1383億円)の、合計4269億円(同、4856億円)もの固定資産が計上されています。

 つまり、固定資産の10%強の純資産しかないのです。

 まあ、もう少し資産査定を厳密化すれば簡単に「債務超過」になりそうです。

 オリンパスの状況から考えて、「損失隠し」以外にも資産査定が「大甘」で、それを監査法人が「容認」してきたことは容易に想像できるからです。

 正直言って、オリンパスの資産がここまで「劣化」している可能性を全く見落としていました。

 12月9日付け「オリンパス事件で見えてきた落としどころ  その1」、12月13日付け「オリンパス事件で見えてきた落としどころ  その2」で、「旧大蔵省の官僚」が「銀行」の協力を得てオリンパスを「最終処理」すると書いたのですが、少し考え直す必要が出てきました。

 まず「銀行への追加支援要請」が出てきます。そして近いうちに多分「公的資金による救済」と「銀行への債務減免要請」の議論が出てくると思われます。

 そうなると「刑事責任の追及」が必須となり、「株主責任」も問われることになり、東京証券取引所の「上場維持」の判断に重大な影響が出てくることになります。

 オリンパス事件は、新たな段階に入ったのかもしれません。