2012年に起こりそうなこと その1「野村證券が銀行傘下に」

野村證券が銀行傘下に」

 年末が近づいているので相場予想も含めた来年の予想がいろいろ出始めています。そこで、本誌でも掲題のシリーズを来年にかけて10回程度書こうと思います。

 その中では当然ユーロや中国(北朝鮮も含む)の問題や、各種の相場予想も取り上げていきますが、書く順番は重要な順番ではなく書きやすい(従って私の中で確信している)順番に書いていくことになります

 そこで第1回が「野村證券が銀行傘下に」です。

 そう思う最大の理由は、現在の渡部・柴田両首脳の現場から遊離した驚くべき「危険な海外業務」への傾注による企業体力の低下です。本誌でも何回か取り上げているのですが、とりあえず11月7日付け「野村證券の病巣  その1」、11月8日付け「野村證券の病巣  その2」、11月11日付け「野村證券の病巣  その3」は、読んでみて下さい。

 現状の野村證券は、依然として欧州を中心に資金繰りに窮しており、海外格付け会社の格下げが囁かれています。Moody’sの格付けは既にBaa2であるため、あと2段階下がれば投資不適格となり、投資銀行業務どころではなくなるのです。

 株価も245円(12月19日終値)と歴史的安値圏で低迷し、国内ですら資金繰りの悪化が囁かれています。

 実際、野村プリンシパルファイナンスを通じて保有していた「すかいらーく」を売却しただけでなく、グループの先輩たちが残した財産である野村不動産野村総合研究所の株式まで売却しようとしているのです。

 野村證券については、最近も「えっ」と思うことがありました。

 現在募集中の「野村ホールディングス劣後債」で、10年債ですが5年目に繰り上げ償還があり、利率が2.24%、発行額が1500億円となっており大半を個人向けに販売するようです。

 まあ、この利率が十分なのかと聞かれれば、「劣後債」であることや現在の格付けなどを考えると「とんでもなく不十分」なのですが、なにより驚いたのが通常の劣後特約(破産・会社更生法民事再生が開始決定されたときは、一般債権が弁済されるまで元利金が支払われない)以外に、今まで見たこともない「条件付き債務免除特約」が付けられていることです。

 この「条件付き債務免除特約」とは、「本社債券の債務免除がなければ、当社の存続が不可能になると金融庁その他の監督当局が決定した場合」と「公的機関またはそれに類する組織からの資本注入またはそれに類する行為がなければ当社が存続不可能になると金融庁その他の監督当局が決定した場合」と、わざわざ注釈がつけられています。

 これは重大なヒントになります。

 いくら野村證券の渡部・柴田が狡猾だとしてもここまでできません。つまりこれは劣後債を発行するに当たり(もちろんこれは野村証券側のやむにやまれぬ事情なのですが)金融庁が強引に付けさせた条件なのです。

 当然、金融庁野村證券の現状を把握しており、どうしても劣後債を出すのであれば「金融庁が必要と判断すれば無条件で切り捨てる」と「公的資金を注入するときは無条件で切り捨てる」でなければ認めなかったのでしょう。

 これは、すでに金融庁が「そういった事態を念頭に置いている」ことに他なりません。

 ただ金融庁としても、そういった事態になる前に、銀行傘下に入ることを「強く勧める」はずです。 

 つまり、銀行免許を持っていればいざという時の救済が可能で、実際、金融危機直後の米国ではGoldman Sachs とMorgan Stanleyが自ら銀行持ち株会社になっています。

 それでは野村證券に銀行免許を交付すればよいのですが、そこは常に行政(旧大蔵省)に反目してきた野村証券を、常に行政(旧大蔵省)の意向をくんで大きくなってきたメガバンクの傘下に入れることが、行政(旧大蔵省)の長年の悲願のはずなのです。

 メガバンクとは具体的に三菱UFJのことで、対抗が三井住友です。みずほは無理でしょうね。

 国際的にみても、先進国で独立系の証券会社として残っているのは野村証券と大和証券だけなのです。従って2012年には両社とも(相手はどこであれ)銀行傘下に入る確率は60%以上と考えます(最近まで50%以上と書いていたのですが、修正しました)。

 メガバンクサイドでも、いつまでたっても証券業務が迷走しているため、野村證券の国内営業部隊は非常に魅力があるのです(もちろん海外の投資銀行業務は全く不要です)。

 まあ、とにかく野村證券劣後債の購入を検討されている方がいらっしゃったら、一度野村證券の店頭に出向いてこの点について質問されてみることを強くお勧めします。