2012年に起こりそうなこと  その5  「中国の変調」

 中国は11月30日に預金準備率を0.5%引き下げ、約3年ぶりに金融緩和をしました。

 巷間では不動産バブルが破裂し始めたとか、欧州金融危機の影響が大きいなどと言われていますが、そもそもあんな巨大な中国で経済統計が正確に出ているはずがなく、また共産党独裁のため経済統計自体が恣意的に発表されていることが絶対あると思います。

 その中でも重要な趨勢は見極める必要があります。

 まず中国の外貨準備ですが、今年8月の3兆2625億ドルをピークに減少し始めているようです。ユーロが値下がりしているための「目減り」もあるのですが、本当に資金が流出している可能性があります。

 人民元はアジア危機のあった1997年7月から2005年7月まで、ずっと1ドル=8.28元近辺で「固定」されており、その後緩やかに上昇となるのですが2008年7月に世界金融危機が起こると1ドル=6.82元近辺で再び「固定」し、2010年6月から再度緩やかに上昇となり現在は1ドル=6.32元近辺となっています。

 完全なる「管理相場」なのです。

 その間に中国の外貨準備は2001年に2000億ドル、2003年に4000億ドル、2005年に8000億ドル、2006年に1兆ドルと日本抜いて世界最大となり、2009年6月に2兆ドル、今年3月に3兆ドルとなりました。

 しかし貿易黒字のほうは、例えば2008年が.3600億ドル、2009年と2010年が2500億ドルに過ぎず、どう考えてみても公式・非公式にかかわらず世界から多額の資金が流入して中国経済の成長や資産価格の上昇を支えていたことになります。

 中国の為替政策とは、明らかに人民元を「割安」に放置して貿易黒字を稼ぎ、さらに2005年以降は人民元に「緩やかな先高観」を持たせることにより資本流入を加速させ、国内ではすべての外貨を中国人民銀行が「一元的に買い入れる」ことにより潤沢な資金を国内に供給し、さらに本来民間企業が負うべき「人民元高のリスク」を政府(中国人民銀行)が肩代わりして成長が阻害されないような「配慮」を続けているのです。

 これは1970年代以降現在に至るまで、日本の企業が常に「円高」と戦い続けているのとは大変な違いなのです。

 しかし、その流れが「反転」し始めたようなのです。それ以外に中国の公式見解でも中国の貿易黒字が2年以内に「消滅」するとされています。つまり従来の潤沢な資金流入を前提とした経済運営が変更を余儀なくされるのです。

 従ってここから中国がどういう為替政策や資本政策をとるのかが非常に重要であり、同時に日本にとっても非常に影響が大きいのです。特に来年は中国指導部の顔触れが変わるため、その見通しも含めた対応が不可欠なのです。

 そんな時に早速、野田首相が中国国債を100億ドル(7800億円)ほどポンと購入することを約束してきたようです。これは旧大蔵官僚の「差し金」とも考えにくく、野田首相が「存在感」を出して決めてきたようで、見返りは仙台へのパンダ2頭の貸与だそうです(有料ですよ)。

  後講釈としては「日本が中国国債を購入することにより、日本の対人民元需要が高まり、人民元の国際化が促進される」となるのですが、経済規模に比べて明らかに国際化が遅れているのは「円」の方で、その結果世界の債券市場における存在感が少ないのは「日本国債」の方で、「促進」する順番を間違っているのです。

 中国に対しては「人民元の国際化に協力しましょう。その代り円も国際化が遅れているので、ここはお互いに国債の持ち合いをしましょう。とりあえずお互いの外貨準備の1%ずつの持ち合いをしませんか?日本は中国国債を日本の外貨準備の1%である130億ドル(1兆円)買いますから、中国も外貨準備の1%の320億ドル(2.5兆円)ほど買ってください。わが日本銀行はありとあらゆる国債を保有していますからそこから好きに選んでください」くらい即興で言えなければ政治を任せておけないのです。

 そうでなくても中国は外貨準備で抱え込みすぎているドルを減らしたいのですが、中国が売ったとなるとドルが暴落して自分の首を絞めるため困っているのです。それを理解したうえで「あと追加で320億ドルほど日本国債を買ってくれるのでしたら、特別に代金は外貨準備からドルで支払っていいですよ。アメリカには黙っておいてあげますからその代わりに1ドル=70円にしてくださいね」なんてアドリブで言えるくらいのセンスがなければならないのですが、無理ですね。

 因みに中国が日本国債を買うと言っても、その代金は中国人民銀行が人民元を刷って、それを外為市場で円に交換するだけなので、まだドルの方が信用できるのです。

 つまり、野田首相が勝手に購入を約束してきた中国国債とは、本来は「交換性のない人民元に将来交換されるだけ(されないかもしれませんが)」という厄介なものなのです。

 そういえば、昨日「りそな銀行」のインサイダー事件が「大問題」になるかもしれない(旧大蔵省の天下りのため)と書きましたが、幹事を務めた野村証券も合わせてやり玉にあがるかもしれません。目的はもちろん優等生の三菱銀行の傘下に入れるためです。

 野村證券と言えば、ネットで誰かが中傷したと騒ぎになっていますが、火のないところに煙は立たないものです。