日本の財政について考える  その1

 いつも本誌で「日本国債は海外でもっと買われるはずなので、もっと積極的に売り込んで財源を確保すべき」と書いているのですが、だいたい読者の方からは懐疑的なご意見を頂戴します。

 本誌がそう思う理由は単純で、世界で最も買われている「円」で「国債」で、さらに「海外投資家の保有が少ない」からなのです。

 しかしそれ以上に、旧大蔵官僚が増税を行うために「日本の財政状態はギリシャよりひどい」と繰り返すので、本来は「国策」のために海外に向けて「日本を正しく理解してもらい、日本国債を買ってもらわなければならない」政府首脳が「日本はギリシャより財政状態がひどく、ギリシャ国債みたいに暴落する日本国債はとても海外に勧められない」と思い込まされているからです(だから中国国債をパンダ貸与の見返りだけで買うことを約束してくるのです)。

 しかしそうはいっても、一度は日本の財政状態を公平に見てみることにします。その中で、もう一度この点について考えてみたいと思います。

 まず、平成23年9月末現在(これが最新です)の国家債務は、普通国債656.5兆円・財投債(財政投融資特別会計国債)113.1兆円、借入金56兆円、政府短期証券128.8兆円の合計954.4兆円なのですが、それに政府保証債務が43.8兆円あるため総合計は998.2兆円となります。

 ついでにいうと地方債務(長期債務だけですが)が201兆円あります。

 日本の平成23年度の名目GDPが469兆円(実質だと537兆円なのですが、何の意味もありません)なので、確かに国家債務だけでGDPの212%となります。

 しかし、財投債の113.1兆円は一応財投融資先の資産があるはずで、政府短期証券の128.8兆円は為替介入により取得した外貨があり、普通国債のうち250兆円の建設国債は一応道路とかダムとかが子孫に残されているはずなので(まあ、みんな相当目減りしているはずですが)、純粋に使ってしまった国債残高(赤字国債)は406兆円でGDPの86%しかないのです。

 あまり意味のない比較ですが、この比率はドイツや英国とほぼ同じです。しかし本当に官僚が省益より「国策」を考えているなら、これも国民や海外に説明すべきなのです。

 昨年末に閣議決定された平成24年度予算案(カッコ内は平成23年度当初予算)は、一般会計90.3兆円(92.4兆円)、税収42.3兆円(40.9兆円)、国債発行44.2兆円(44.3兆円)と苦心の跡が見られるのですが、いくつかの「操作」があります。

 まず平成23年度は当初予算から(あの不幸な東日本大震災があったからなのですが)第4次までの補正予算が組まれて11.5兆円の復興国債が発行されています。

 この復興国債は将来の増税した資金で償還することに「いつの間にか」なっているのですが、復興とは関係のない支出も紛れ込んでいるようです。平成23年度の年金の国庫負担分の2.5兆円もここから支払われているのですが、これは震災後の第1次補正の時に財源がなくて流用していた分が戻されただけです。

 平成24年度予算では、まず3.7兆円の復興経費を特別会計にして「外出し」し、年金の国庫負担2.6兆円をとりあえず交付国債にしてこれも「外出し」しています。

 この年金については、とりあえず2.6兆円を資産である年金積立金から支払い、交付国債という「約束手形」を差し入れておき、将来増税が出来て財源が確保できれば2.6兆円を積立金に戻すのですが、もし増税が出来なかったら積立金から払いっぱなしとなるのです。

 これらを計算に入れると、平成24年度の一般会計は96.6兆円となり、不足分をすべて国債発行で賄うと50.5兆円の発行となります。まあ確かに「やりくり」でどうにかなる数字ではなさそうなのですが、それでは「国策」的にどうしたらいいか考えてみましょう。

 「増税」により経済を疲弊させるのではなく、とりあえず財政赤字には目をつぶり経済成長を目指し、将来の税収拡大を図る。経済活動の拡大に各種インセンティブを付与する。

 「株高」と「円安」による「資産効果」を重視する。同時に「資産」や「資産価値の上昇分」に対する課税強化。

 海外に「日本国債」の取得(保有)を積極的に推進し、同時に国内でも「国債取得(保有)」のためのインセンティブを付与する。

 国民金融資産の「海外逃避」を防ぐ(海外逃避と海外投資は違います)。特に相続税逃れを防ぐ。

 この4点だと思います。具体的には次回書きます。