日本の財政について考える  その2

 前回から少し間が空いてしまったのですが、前回は平成24年度当初予算では実質的に50兆円以上の歳入不足があり、既に消費税などの増税を「あてこんだ」予算が組まれているところまで書きました。

 これに対して、「目先の増税より、経済活動の拡大による将来の税収増を目指したインセンティブのある税制」「円安・株高による資産効果拡大のための政策」「国内外に国債購入を推進」「資産の海外逃避の防止」などが必要であると書きました。

 ただ税制に関しては、いくら主張しても聞き入れられることはありませんので、ここでは「国内外に国債購入を推進」にポイントを絞って書くことにします。官僚が問題にしているのは財政赤字額そのもので国債購入額の拡大とはこれまた違うようなのですが、まあ少し考えてみましょう。

 まず国内の国債保有の構造は、平成23年9月末現在の資金循環統計によれば、家計が直接保有する国債残高はたった29兆円で、金融仲介機関(銀行・保険・投信など)が593兆円保有しています。要するに家計の金融資産(1471兆円)のかなりの部分が預金・保険などを通じて金融仲介機関に集まり、そこで巨額の国債が保有されているのです。

 まあそれはそれでいいのかもしれませんが、銀行の預金金利との関係でみてみますと、全国銀行の保有する国内の平均残存は3年半くらいだと思われるため、その辺の残存の国債の利回りは0.25~0.3%です(もちろん銀行などの簿価は非常に低いため、銀行全体の保有する国債の簿価利回りはもっと高いはずです)。

 それに対して銀行の3年程度の預金利回りは、メガバンクで0.03~0.05%です。預金保険料が0.084%かかるのですが、それでも家計が直接国債を保有した方がはるかに「高利回り」が得られるのです。逆に言えば銀行などは家計の預金でリスクも手間もかからない(はずの)国債を買って巨額の「利益」を上げているのですが、これも今回は取り上げません。

 それより問題は、家計の金融資産の大半を保有していると思われる「富裕高齢者」が、海外に資産を逃避させて相続税を回避する動きが活発化していることです。

昨年10月7日付け「司法の危機」で書いたのですが、武富士の創業一族の明らかな相続税回避を最高裁で「合法」として巨額の「金利」を付けて返却した例もあり、まずます加速化しているようです。

 また逆にあまりにも預金金利が低いため「怪しげな輩から特別に有利な案件」を勧められてすっかり騙しとられるなどの例も多数あるようです。

 旧大蔵官僚の中には、家計の金融資産のかなりの部分は「高齢者」が保有しているため、そう遠くないうちにかなり「相続税」で回収できると考えている「不届き者」が絶対いるはずです。ところがこのままではすっかり海外に逃避してしまうか、「特別に有利な投資」に消えてしまうかなどで、思うように相続税で回収できないはずです。

 それではもっと大胆に考えてみましょう。

 巨額の金融資産を保有している「富裕高齢者」が対象になるのですが、生前に国債を購入して(例えば)その額面の20%を「相続税の前払い」として「物納」し、残りを相続税発生時点まで所有していれば、その国債額面は相続税の対象から控除される「相続税減免国債」を創設します。

 1億円以上の相続税額は40%なので「減免(前払い)税率」の20%は、微妙ですが魅力あるはずなのです。仮に向こう数年の対象金額が200兆円あるとすれば40兆円の「税収」となり、海外に資産が逃避しないうちに「捕捉」しておくべきなのです。

 ついでに表に出せない資産を保有している場合には、その隠している現金(は少ないと思いますが)や資産を売却して国債を購入して(例えば)その額面の50%を「物納」すれば、脱税として摘発せず刑事責任も追及しない「免罪国債」も創設します。

 日本の場合は表に出ていない経済規模がGDPの5%程度(ギリシャやイタリアでは30%)と言われており、これだけで24兆円に対して12兆円の「税収」となるのです。脱税の場合は摘発されればほぼ全額が没収となり刑事責任も追及されるため、「免罪税率」の50%は、これまた微妙ですが魅力あるはずです。

 両方とも、「物納」された国債は償却して「国庫」に入れればよいのです。ついでにその「臨時税収」の50%を減税(とくに法人税の減税)に充てれば強力な景気対策になります。

 官僚さん、一度検討してみてください。皆さんが「国民のために考案した」ことにしていいですよ。

 一方、同じく平成23年9月末の資金循環表によれば、海外投資家は76兆円の日本国債を保有しています。現時点ではもう少し増えていると思われますが、同時期に日本全体で582兆円の海外金融資産を保有している(外為会計だけで時価換算で100兆円)ことから考えると非常に少ないと言えます。

 これは前回の「日本の財政を考える その1」にも書いたように、政府関係者が旧大蔵官僚の「日本は早く財政問題を解決しなければギリシャのようになり、国債が暴落する」という「増税のための恐るべき」理論を信じ込んでいるからなのですが、週末のユーロ諸国の格下げに対しても、財務大臣が「日本も早急に安定財源を確保(つまり増税)し、財政再建に取り組む姿勢を見せなければ、明日が我が身だ」と早速言って(言わされて)います。

 こういった発言が、国内の「なんとも言えない閉塞感」を増長させていることが分からないのでしょうね。