オリンパス事件とは何だったのか?  その2

 昨日も同じテーマで書いたのですが、オリンパスについてはもう十分に「書きたいこと」を書いたので、本日は別のテーマ(書きかけの「円高のメリット・デメリット」や「日本の財政について考える」や、改めて「ユーロについて」など)を書こうと思っていました。

 ところが、昨日「オリンパスの株主による損害賠償請求は認められる可能性が低い」と書いたのですが、読者の方から「金商法を理解していない寝呆けた記事である」とのご指摘を頂きました。

 確かに、紙面の関係で説明をほとんど省略したため「誤解を招く書き方」となっていましたので、本日はこの点を中心にもう一度だけオリンパスについて書くことにします。

 金融商品取引法では有価証券報告書の虚偽記載(別に粉飾決算だけでなく、西武鉄道のように筆頭株主の持数の虚偽なども含むすべての記載内容に虚偽があった場合、また逆に重要な事実を記載していない場合も含まれる)による株主の損害賠償請求については、提出者(会社)には無過失責任、役員・監査役・監査法人などについては故意があった場合のみ責任を問われるようになっています。

 また提出者(会社)に対しては、株主は虚偽記載と株価の値下がり因果関係の立証も不要とされています。

 要するに会社は故意の有無にかかわらず、また虚偽記載以外の要因の有無にかかわらず(一応裁判所が除外する可能性はありますが)有価証券報告書に虚偽があった場合は(もっと正確に言うと虚偽だと「認定」された場合)すべての株主の保有株式の値下りに対して無条件で責任があることになるのです。

 2006年6月に公布された金融商品取引法は、旧・証券取引法に比べて株式市場における罰則が格段に厳格化かつ強化されています。これには2006年1月に摘発されたライブドア事件の影響が絶対にあります。つまり当時はライブドア(というより堀江・元社長)の行動を完全に否定するという「当局」の意向だったのです。

 ライブドア事件の概要については昨年6月23日付け「ライブドアの闇 その3」に、またそれと対比すべき日興コーディアル事件については、一昨年11月17日付け「あの事件はどうなった? その2」に書いてあります。時間があったら読んでみて下さい。

 さてオリンパス事件では、明らかに「当局」の意向が、官僚組織(経産省ではなく財務省です)の主導のもとに支援企業を募り、7000億円にも上る銀行の貸付債権を保全し「オール日本」で管理する(つまり利権を分け合う)ことのはずです。

 だから「当局」の一員である東京証券取引所は上場維持とし、捜査当局も刑事責任を問うのは最小限にすると予想するのです。コメントも頂いているのですが、法人としてのオリンパスも刑事責任を追及される可能性が報道されているようですが、あくまでも「整合性」をとるためで新たなダメージを与える目的ではありません。

 要するに書きたいことは、ライブドア事件オリンパス事件では「当局の方針」が100%違い、オリンパスの企業価値を守ることが最重要視されるはずだということです。

 従って「当局」はオリンパスの株主に1000億円を超える損害賠償を「ポン」と支払うことには難色を示すはずなのです。もちろん判断するのは裁判所で、さすがに「裁判所まで当局の一員」とは言いませんが、不思議と裁判所の判断が「当局の意向に反する」ことは非常に少ないのです。

 それに今に始まったことではないのですが、「当局」にとって「官僚の利権」の次に大事なのは「銀行(の貸付債権の保全)」であり、株式市場や証券会社や株主の利益などは重要でも何でもないのです。だから銀行の返済原資であるオリンパスの資産が株主に1000億円も支払われることは「非常に考えにくい」のです。

 以上が、昨日の「オリンパスの株主の損害賠償が認められる可能性が低い」との記述に対して「省略」してしまっていた説明なのです。

 本誌はあくまでも株式市場を取り巻く(当局を含む)諸環境からオリンパス事件をとらえており、その流れでの「予想」です。説明不足で誤解を招いたことはお詫び申し上げます。決して「寝呆けて」書いているわけではありません。

 でもご意見ありがとうございました。

 明日は別の話題にしたいと思います。