ドルも上昇!? 何か変わったのか?

 昨日「ユーロ上昇! 何か変わったのか?」を書いたのですが、昨夕からドルも上昇していました。本日(1月25日)は夕刻から78円台に乗せており、1日で1円以上の上昇となっています。

 何か変わったのでしょうか?

 一応理由として、日本の昨年(暦年)の貿易収支が2兆4927億円と31年ぶりに赤字になったことが挙げられていますが、実際は発表前の昨夕からドル高になっていました。

 貿易収支が赤字と言っても実際の資金フローはもう発生した後なので、長期的にはともかく短期的にはあまり影響がないと思われます。

 比較的サプライズなのは、オバマ大統領が一般教書演説で本国投資法(HIA)について言及したことです。確かにブッシュ大統領の2005年に1年限りで導入されてそれなりのドル高になっており、本当に導入されれば「かなりの確率でドル高」になるので要注意です。

 HIAについては昨年7月5日付け「為替市場に新たな波乱・米国の本国投資法」に詳しく書いてあります。また一般教書演説については8月17日付け「2012年の大統領選挙  その3」に書いてありますので、時間があったら読んでみて下さい。

 もう1つ、本日NY時間に米国FOMCの結果が発表されます。何らかの「追加緩和」の可能性が強く、昨日に日本銀行が追加(量的)緩和を見送っているため、いずれにしても「ドル高」に結びつくことはありません。

 ご質問頂いているのですが、量的緩和というのは中央銀行が自国の通貨を大量に市中(銀行のことです)に供給することで、単純に需給関係から大量に供給された通貨が弱くなるのです。だから日銀が(追加の)量的緩和を行わず、FRBやECBが(追加の)量的緩和を行えば、それだけドル安やユーロ安(円高)になるはずなのです。

 日本ではいくら日銀が量的緩和しても銀行に「豚積み(ぶたづみ)」になるだけなので、円安にはならないとのコメントも頂いているのですが、世界を見渡して最も為替相場に即効的影響があるのが「目に見える」量的緩和であることは間違いありません。

 盛大に「豚積み」すれば「円安」になります。尤も銀行は0.1%の利息もプレゼントされており「利権」を生む「豚」のようなので、付利は即刻全廃すべきです。

 話を戻しますが、ドルについては(HIAの行方は気になるものの)現在の要因だけではドル高(円安)に方向が変わったということではなさそうです。

 じゃあ、ドルも何も変わっていないのでしょうか?

 実は、そうとも思っていないのです。

 昨日書いたように、ユーロについては対ドルでも対円でもまだまだ下落すると思っているのですが、ドルについては必ずしもそうは思っていません。ここで単純に「ドル高」とか「円安」というのは厳密な表現ではないので、少し整理しておきたいと思います。

 これもコメント頂いているのですが、円の水準を示す円インデックスはまだ上昇トレンドが崩れているわけではなく128~130.50のレンジ内に収まっています。しかし為替市場で円がドル以外の通貨に対して独自に動くことは少なく、ドル・円とドル・多通貨に分解して考えなければなりません。つまりドル・円相場とドルインデックスを両睨みで考える必要があるのです。

 本誌では「無策の円高」という表現をよく使うのですが、厳密に言えば日本側の「無策」で「円高」になるのですが、ドル自体はドルインデックスでみると昨年5月の72.70をボトムに今年初めの81.78まで上昇しています(現在は少し調整中)。

 つまり全体としては上昇(正確には底打ち)し始めているドルを、日本側の「無策」で打ち消しているわけで、今後はグローバルの政治・経済状況を反映する「ドルの上昇度合」と、極めてローカルかつ人為的な「日本の無策度合」の綱引きとなるのです。

 イメージとしては、グローバル要因による「ドルの上昇度合」が急激でなくとも続いていくと、いつかローカル要因である「日本の無策度合」に抑えられていた円売・ドル買需要が急に現れるか、「無策」に安住して必要以上ドルを売っていた実需や仮需が突然慌てるかして、どこかで(それも急激に)円安になる可能性もあると思うのです。

 まあ要するに「円高」か「円安」は、「グローバル要因」と「ローカル要因」のどちらが強いかと言うことで、そもそも科学的な比較が出来るものではないためどちらとも断言できないのですが、そういうふうに考えて行こうと思います。

 重要なことは仮に「円安」になった時に、日本全体としての「利益」となり、さらにその「利益」が国民に還元される仕組みになっていなければなりません。現在の外為資金特別会計の仕組みは非常に不十分なのですが、これについてはまた書くことにします。