意外な結果の日銀短観 それを隠すマスコミ

 海外がイースター休暇中の本日(4月1日)早朝、3月の企業短期経済観測調査(以下、「短観」)が日銀から発表されました。

 短観とは、日銀が資本金2000万円以上の民間企業・約21万社から約1万社を抽出して、3か月に1度行うアンケート調査です。具体的には業況・雇用状況・需給・在庫・価格判断などを「良い・悪い」「過剰・不足」などで回答するもので、99%前後の回答率があります。

 今回は2月25日~3月29日の調査結果であり、最もタイムラグの少ない、最も民間の実感に近い「生きた」調査なのです。

 一番代表的な大企業製造業の業況判断指数(DI)はマイナス8と、3四半期ぶりに前回調査(昨年12月・マイナス12)を上回りました。

 業況判断指数(DI)とは、業況判断が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値で、マイナスであるということは「悪い」が「良い」を上回っていることになります。

 ところが日経新聞の4月1日付け夕刊の1面トップ見出しは、大きく「製造業 景況感が改善」と書かれており、いかにも景気がドンドン回復しているような「錯覚」を受けます。NHKでも他の全国紙でも、同じようなものです。

 まあ確かに昨年12月調査のマイナス12から今回はマイナス8になっているので、間違いではないのですが、マスコミが重要なポイントを「意識的に無視した」か「隠している」か「理解できていない」ことになります。

 だから本誌で解説します。

 まず大企業製造業の業況判断指数をもっと遡りますと、昨年9月がマイナス3、昨年6月がマイナス1、昨年3月がマイナス4、一昨年(2012年)12月もマイナス4、一昨年9月が何とプラス2、一昨年6月(実質的に東日本大震災後最初の調査)でもマイナス9となっていました。

 つまり民主党政権時代の業況判断の方が、おおむね「良かった」のです。

 もっと注目すべきは中小企業製造業の業況判断指数で、今回調査は何とマイナス19、昨年12月のマイナス18よりさらに悪化して、5四半期連続の悪化となっています。

 何も安倍内閣の経済政策を「効果が無い」と批判しているのではなく、実際に円安・株高が進んでいるのにもかかわらず民間企業の景気実感は「意外に改善していない」という非常に重要な情報がもたらされたことを強調しているのです。

 その重要な情報を、マスコミが見事に隠したのです。

 「意外に改善していない」ことを隠すのではなく、もっと真剣に今後の経済運営に役立てなければならないのです。

 細かく見ていくと「気になる調査結果」がいくつもあります。

 ほんの1例ですが、今回の調査で大企業製造業の価格判断では、仕入れ価格判断(「上がる」から「下がる」を引いたもの)は最近がプラス15、先行きがプラス22であるのに対して、販売価格判断は最近がマイナス10、先行きがマイナス5です。

 つまり大企業製造業といえども、仕入れ価格が「上がる」との判断が多く、先行きはもっと上がると判断しているのに対し、販売価格は最近も先行きも「下がる」との判断が多いことになります。

 これはもちろん円安の影響ですが、大企業製造業でも販売価格に転嫁できる状況ではないことを意味しています。

 本日の日経平均は262円安の12135円となりました。短観の影響なのかどうかはわかりません。

 なぜならマスコミが短観の結果を、正しく伝えていないからです。

 これが最大の問題です。