日銀の大胆な金融緩和は既成事実 いま重要なことは?

 昨日付け「意外な結果の日銀短観 それを隠すマスコミ」に対し、大企業製造業DIが昨年12月のマイナス12が今回マイナス8に改善したと普通に見ればよく、本誌の見方は変であるとのコメントを頂きました。

 まさに本誌が強調したい重要なポイントですので、再度説明します。

 経済が本格的に回復するためには、デフレマインドの払拭など市場心理が好転する必要があり、そのためには円安・株高が最も即効的な効果があり、そのためには大胆な金融緩和が必要である、という順番のはずです。

 念のために時間順に並べなおしますと、大胆な金融緩和が円安・株高を引き起こし、それがデフレマインドの払拭など市場心理を好転させ、その結果、経済が本格的に回復する(可能性が出てくる)のです。

 これは安倍内閣やそのブレーンも「ほぼ同じ」理解のはずです。

 現時点の状況は、大胆な金融緩和はすでに完全に織り込まれて、円安・株高がかなり進行しています。

 次の重要なステップは、これがデフレマインドの払拭や市場心理の好転に結びつくのかどうかです。

 昨日発表された「短観」こそ、民間企業1万社以上から直接回答を求めるものであり、これに対する最も的確な「答え」のはずです。

 業況判断は企業経営者の「経済に対する見通し」です。これこそ学者や評論家が机の前に座って頭で考える「見通し」とは違い、大げさではなく「現場で命を懸けている企業経営者」の実感です。

 その「現場で命を懸けている企業経営者」の判断が、大企業製造業ですら前回のマイナス12からマイナス8であり、「もっと直接的に現場で命を懸けている企業経営者」の実感である中小企業製造業だと、前回のマイナス18がマイナス19に悪化しているのです。

 つまり現場の市場心理は、ほとんど好転していないことがわかったのです。

 また昨日書いた価格判断も(大企業製造業ですら)デフレマインドが払拭されていないことを表しています。

 これは安倍内閣の金融・経済対策を批判しているのではなく、「大胆な金融緩和が織り込まれて円安・株高が進行しているにもかかわらず、デフレマインドの払拭を含む市場心理の好転に結びついていない」という重要な事実を強調したいのです。

 既に明らかな兆候が表れている円安による輸入資源価格の上昇などの弊害が、広く認識されてしまう前に市場心理を好転させなければなりません。消費税の引き上げも、すぐそこです。

 ここで市場心理の好転に失敗すると、昨年春の二の舞になりかねません。昨年はユーロ圏の債務問題の深刻化という「外部要因」もあったのですが、基本的には市場心理の好転に失敗したのです。

 今週の日銀政策決定会合では、大胆な金融緩和が行われることは既成事実で、あとは「方法論」だけです。

 くどいようですが現時点で最も重要なことは、金融緩和の方法論ではなく、その次の「いかに市場心理の好転に結び付けるか?」なのです。昨日の短観では、はっきりと「市場心理が好転していない」と分かったのです。早急に対策を検討しなければなりません。

 2月15日付け「為替と株の相場見通しを微修正」で、それまでの「悪材料に弱気になったら負け」から「好材料にも悪材料にも反応するようになる」と修正しました。

 本日(4月2日)はさらに「悪材料に、より大きく反応するようになる」と再修正します。別に弱気になったわけではなく、(特に海外からの)悪材料が出なければ心配する必要はありません。

 しかし、さしあたっては、日銀の大胆な金融緩和も「材料出尽くし」の悪材料になるかもしれませんし、キプロスの「次」のユーロ圏からも目が離せません。

 久々ですが、少し用心した方がよさそうです。