金価格急落の意味するもの その2

 4月18日付け「金価格急落が意味するもの」の続編ですが、今回は肩の凝らない内容にします。

 前回も書いたのですが、NY金先物価格は4月11日(NY時間)終値の1トロイオンス=1564ドルから、週末を挟んだ4月16日の日中に1320ドルまで急落しました。先週末の4月19日の終値も1395ドルで、ほとんど回復していません。

 金は決して腐食しないため、有史以来人類が掘り出した金がすべて残っています。世界中にある金の総量はいろんな説がありますが、最近の産出量から推測すると直近で174,000トンのはずです。

 金の比重は19.3なので、よく言われるオリンピックプールに入れると3.6杯分になります。また急落した1トロイオンス=1395ドルで計算すると、世界中の金の価値の合計は777兆円(!)になり、日本国債の発行額より少ないことになります。

 174,000トンのうち、約半分が装飾用で、更にその半分がインドと中国にあるようです。

 中央銀行などが保有する公的準備としての金は30,000トンほどで、あとは投資用(ETFなど)と産業用です。

 最近の金急落の原因として、金融危機キプロス中央銀行の売却が囁かれたのですが、キプロス中央銀行の金保有高は13.9トンしかありません。財政危機国ではポルトガル中央銀行は382トン、イタリア中央銀行に至っては2451トンも保有しています。

 今後も債務危機国の金売却が話題に出てくる可能性があります。

 日本の金準備は外為資金特別会計で保有する765トンです。日本の保有金も含めてかなりの国が米国フォートノックスに預けています。ところが2010年初めに、このフォートノックスから金を返還してもらった中国が、タングステンに金メッキをした偽物だったと騒いだことがありましたが、続報がありません。

 確かにタングステンは金と比重が近い地球上で唯一の物質です。日本政府も一度確かめてみた方が良いのではないでしょうか?

 ところで2012年の世界の金の産出量は2860トンでした。多い順から中国が413トン、旧ソ連(ロシアとウズベキスタン)が365トン、豪州が250トン、米国が231トン、南アフリカが177トンとなっています。南アフリカは1970年代に年間1000トン近く産出していました。

 自然界にある埋蔵量は、あとせいぜい6~7万トンと言われています。つまりオリンピックプールの1杯分ちょっとしかないことになります。

 ところが日本には7000トン近い産業用の金があり、推定埋蔵量が最大である南アフリカの6000トンを上回っています。これでもって日本が世界最大の金埋蔵量を保有しているという人がいるのですが、使用中の通信機器などに含まれる金の量を合計しても意味がありません。

 しかし日本は2011年に100トンもの金を輸出している「金輸出国」です。しかし最近の金の産出量は年間8.6トンと、世界の産出量の0.3%しかありません。

 もともと日本は、マルコ・ポーロなどによって「黄金の国」と伝えられていたのですが、当時最大の佐渡金山でも産出量は年間400kgだったようです。なぜ「黄金の国」と言われたのでしょうね?

 金価格は、金融危機が深刻化した2008年10月に1トロイオンス=681ドルの安値を付け、その後2011年8月に1904ドルまで上昇しました。

 よく金融緩和でドルが大量に発行されると、ドルの価値が下落すると言われているのですが、FRBのバランスシートは現在も拡大中で2008年10月の3.7倍もあります。

 つまり2011年8月の1904ドルから、現在の1395ドルまで500ドル以上下落した理由が良くわかりません。

 前回、金価格の下落を単なる商品価格の下落と考えるか、ドルをはじめとする通貨価値の上昇と考えるかによって、今後の世界の金融市場の「見方」が変わると書いたのですが、まだ考えがまとまりません。

 もう少しお待ちください。