いよいよカジノ解禁 その前に肝に銘じておくこと

 政府が6月に取りまとめる新成長戦略の目玉として、いよいよカジノ解禁に踏み切るようです。

 昨日(4月24日)カジノ合法化と観光産業の誘致を議論する超党派の「国際観光産業振興議員連盟(通称・カジノ議連)」が自民党政権復帰後初めての総会を開き、今秋の臨時国会でカジノ合法化法案を議員立法で提出し、早期の成立を目指すことで合意しました。

 安倍政権の経済政策の3本目の矢である「新たな分野での経済活動の活性化」と位置付け、収益金の一部を東日本大震災の復興資金の一部として還元するなど、いろいろな理屈をつけて「一気呵成に押し込んでしまおう」ということのようです。

 カジノ議連は超党派で140人もの国会議員がいるのですが、議連会長に自民党の細田博之幹事長代行、最高顧問に安倍総裁と麻生副総裁のほかに石原慎太郎・日本維新の会共同代表、小沢一郎・生活の党代表と、「大物がキラ星のごとく」並びました。

 こうなるのは「おそらく日本で最後の巨大利権」であり、海外のカジノ家運営会社、国内のゲーム機製造会社、ゼネコン・ホテル、それに反対勢力と言われるパチンコ・警察などが、「それぞれの思惑」をもって群がってきているからです。

 カジノ産業の売り上げは、ホテル・ショッピングなどすべてひっくるめると、現在ではマカオ(澳門)が年間2兆円、ラスベガスが6000億円と言われていますが、正確なところはわかりません。

 カジノの解禁には、もちろん総論としては大賛成です。

 しかし最重要(つまり最も収益性の高い)のカジノ運営は、日本人のノウハウではとても太刀打ちできないもので、また既に世界の大手カジノ運営会社の寡占状態となっています。

 また日本国内でも「それぞれの思惑」が群がってくるため、全体としての交通整理がなかなかできず、気がついたら収益の大半が海外に消え、日本の経済発展と日本人の資産形成になんら貢献しないことも考えられます。

 パチンコで日本人の資産が形成されていないことと同じです。

 カジノはパチンコの比ではない成熟し寡占化した「怖い」産業なのです。

 「怖い」というのはマフィアが出てくるからではありません。実は全く逆で、世界のカジノを牛耳っている「胴元」は米国政府と中国政府であり、実働部隊はそこから「営業ライセンスを得ている」大手のカジノ運営会社です。

 これだけだと「何を言っている?」となるので、出来るだけ分かりやすく説明します。

 世界最大のカジノであるマカオ(澳門)の「胴元」は中国政府です。「胴元」である中国政府から「営業ライセンスを得ている」カジノ運営会社は、マカオのカジノ王・スタンレー・ホー(92才)率いる澳門旅遊娯楽、香港のギャラクシー・エンターテインメント(銀河娯楽集団)、それに米国資本でウクライナ系のシェルドン・アデルソン率いるサンズ、ステーブ・ウィン率いるウィン・リゾーツ、カーク・カーコリアン(95才)率いるMGMの5社です。

 この5社が、そのまま世界のカジノ運営会社の大手5社です。たとえばマカオでほかの会社がカジノ付ホテルを建設したとしても、そのカジノの運営(つまり最も収益性の高いところ)は、この5社のどこかに委託しなければなりません。

 日本のユニバーサルエンターテインメントが、フィリピン政府からカジノ施設建設と運営を許可されていたのですが、出資していた米国大手のウィン・リゾーツとは別に単独でフィリピン政府に働きかけて許可されたものでした。

 それを快く思わなかったウィンが、ユニバーサルエンターテインメントが3000万ドルの裏金を当時のフィリピン当局に提供していたと「難癖」を付けたのですが、何と米国政府機関でカジノライセンスを司るGCB(ゲーミング・コントロール・ボード)やFBIがあっという間に調査に乗り出し、計画そのものが宙に浮いてしまいました。

 「胴元」である米国政府としては、人口も多くカジノの有望市場であるフィリピンに、米国のカジノ運営会社を差し置いて日本企業が単独で進出するなど「あってはならない話」だったのです。

 ほんの一例ですが、そんな「怖い」巨大産業であることを忘れてはならないのです。