JPモルガンの和解金が130億ドル!

 米銀最大手のJPモルガン・チェースが、金融危機前の住宅ローン担保証券MBS)販売を巡り、130億ドル(1兆2700億円)もの和解金を支払うことで米国司法当局と暫定合意したようです。

  内訳は、政府機関の米国連邦住宅金融局(FHFA)への制裁金が90億ドル、損失を被った消費者の救済に40億ドルとなっています。

  米国の2大住宅金融会社のFNMAとFHLMCは、2008年の金融危機で破綻してFHFAの管理下に入りました。今まで1900億ドルの公的資金が注入されており、両社はようやく2012年暦年決算で合計280億ドルの最終利益を計上したのですが、公的資金の完全回収まではかなり時間がかかりそうです。

 なぜJPモルガン・チェースが130億ドルもの巨額和解金を支払わなければならないのかですが、金融危機以前にFNMAとFHLMCに合計330億ドルのMBSを販売した際に虚偽の説明を行い、両社に損害が発生したとして2011年9月にFHFAから提訴されていたからです。

  JPモルガン・チェースは、金融危機時の2008年にベアー・スターンズワシントン・ミューチュアルを買収したのですが、この330億ドルの販売額の大半がこの買収した両社によるものだったようです。

  つまりJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOにしてみれば「金融危機時の混乱を少しでも軽減できるように瀕死だった両社を救済合併したのに」と愚痴の1つもいいたくなっていると思います。

  さらにFNMAとFHLMCへの販売に際して虚偽の説明をしたといっても、MBSを組成するための住宅ローン債権はFHMAとFHLMCから取得しており、そのキャッシュフローを組み替えただけなので、実際に「虚偽の説明に騙された」はずがありません。

  金融危機以前はFHMAもFHLMCも積極的に金融機関に働きかけ、MBSを積極的に組成させて膨大な保証料と手数料を稼いでいました。またそれを推進するために組成されたMBSも積極的に購入していました。

  あまり適当な例えが思いつかないのですが、卵の卸売業者が「卵をたくさん買ってくれたら卵焼きを買うから」といっておきながら、あとで「買った卵焼きが腐っていた」と訴えているようなものです。

  しかしこの問題は、これからもっと大きくなります。

  なぜならFHFAは17社も訴えているからです

  主だったところは(カッコ内はFHMAとFHLMCへの販売額)、暫定合意したJPモルガン・チェース(330億ドル)を筆頭に、メリルリンチ(バンカメ分を含めて308億ドル)、シティグループ(35億ドル)、ゴールドマン・サックス(111億ドル)、モルガン・スタンレー(106億ドル)、海外勢ではRBS(304億ドル)、ドイツ銀行(142億ドル)、クレディ・スイス(141億ドル)、バークレイズ(49億ドル)、野村ホールディングス(20億ドル)、HSBC(62億ドル)、ソシエテジェネラル(13億ドル)などです。

  あまり科学的な説明ではありませんが、JPモルガン・チェースが330億ドルの販売に対して、その約40%の130億ドルの和解金で暫定合意しているため、米国勢と英国勢は同じような比率で合意せざるをえないように思います。

  野村ホールディングスも合意せざるをえないでしょうね。同じ比率だとしても8億ドル(800億円)と少なくない負担となります。

  揉めそうなのがドイツ銀行クレディ・スイスあたりです。

  みんな釈然としていないと思うのですが、これが米国当局なのです。

  JPモルガン・チェースといえば9月にも、昨年発生した62億ドルの巨額損失に関して9億2000万ドル(900億円)の罰金の支払いを米英当局と合意したばかりでした。しかし合計で230億ドルもの訴訟費用を引き当てているようで、経営基盤は盤石のようです。

  それからこのようなときに「まず」名前が出てこないのがウェルズ・ファーゴです。ウォーレン・バフェット氏も大株主になっており、時価総額は米国金融で最大の2250億ドル(22兆円)あります。その次がJPモルガン・チェースの2040億ドル(20兆円)です。

  ウェルズ・ファーゴは、金融危機以前からの最大の「勝ち組」なのかもしれません。