ここからはユーロにも注意すべき

 本日(10月23日)の日経平均は287円安の14426円となりました。午後に為替が1ドル=97.16円まで円高になった影響です。

  FRBの量的緩和縮小が来年まで延期されそうだからなのですが、とりあえずは円高に過剰反応してしまったようです。

  ここからはドルだけではなくユーロにも注意する必要がありそうです。本日午前中に1ユーロ=1.3790ドル(約2年ぶりの高値)、昨日遅くに1ユーロ=135.45円(約4年ぶりの高値)をつけていたのですが、そこから本日午後8時現在に1ユーロ=1.3747ドル、1ユーロ=133.73円まで反落しています。

 欧州経済とユーロにとって「最悪」だった日は2012年7月24日だったはずです。債務危機懸念がイタリアやスペインにも飛び火し、イタリア10年国債利回りが6.6%、スペイン10年国債利回りが7.6%まで上昇し、為替も1ユーロ=1.20ドル、1ユーロ=94円に急接近していました。

  ECBは2011年12月と2012年2月に合計1兆ユーロの資金(最長3年間)を欧州の銀行に供給し(LTRO)、さらに2012年7月5日に政策金利を1%から0.75%に引き下げ、同時に中央銀行への当座預金の付利(0.25%)を撤廃していたのですが、その時点ではあまり効果がありませんでした。

  ECBのドラギ総裁はすかさず「ユーロを守るために何でもする」と発表し、実際に同年9月6日「債務問題国の国債を償還期限1~3年に限って無制限に買い入れる」と発表し(実際は未実行)、また同年10月にはESM(欧州安定メカニズム・注)がスタートし、徐々に落ち着きを取り戻します。

 (注)ユーロ圏債務国に最大5000億ユーロの融資を行う仕組。前身のEFSFが融資済みのアイルランド、ポルトガル、ギリシャ向け1920億ユーロを引き継ぐも、これは別枠。またESMは同年9月にドイツの憲法裁判所が条件付き(総額1900億ユーロ以上の融資には議会の追加承認が必要)で批准を認めてやっとスタートし、スタート後はスペインの銀行向け(融資先はスペイン政府)に1000億ユーロの融資枠設定とキプロスに100億ユーロの融資実行。

  その後、ECBは本年5月に政策金利を0.5%まで引き下げ、9月5日の理事会後にドラギ総裁が「追加利下げや、追加の流動性供給の用意がある」と発言しています。

  現時点ではLTRO残高は6658億ユーロまで減少しており、本日のイタリアとスペインの10年国債利回りは共に4.1%まで下落しています。そのような状態の中での「ユーロ高」なのです。

  2012年7月24日から本日の反落前までで、ユーロは対ドルで15%、対円で44%も上昇していました。

  もちろんその間にFRBは長期国債とMBSを月額850億ドル買い入れるQE3を、日銀は本年4月から平均残存7年の国債を月額7兆円以上買い入れる「異次元」金融緩和をそれぞれ開始しているのですが、ECBは目立った量的緩和を行っていないからです。

  ユーロ圏経済は、本年の実質経済成長率が前年比マイナス0.6%に下方修正されたばかりで、失業率も依然として12.0%もあり、明らかに日本や米国に比べて見劣りがします。

  そのユーロが、対円だけでなく対ドルでも上昇を続けているのです。

  本誌は、世界の基軸通貨としての利用比率が、長期的にもっとドルからユーロに移動すると考えており、ユーロは「長い目で見れば」もっと対ドルで上昇すると思っています。

  しかし目先は「ユーロ圏の経済状況を考えると、いくらなんでもユーロは少しスピード調整が必要」と考えられても不思議ではありません。

  その結果が「誰も注目しなかった」9月5日のドラギ総裁の「追加利下げや、追加の流動性供給の用意がある」との発言だったのかもしれません。

  全くノーマークのECB追加金融緩和に注意する必要がありそうです。次回のECB理事会は11月7日です。

  そう思う理由は、このタイミングでの追加金融緩和はユーロ圏経済とりわけユーロ相場に、大いなるサプライズ効果をもたらす「非常に効率のよい」措置だからです。