雪国まいたけの「不適切な会計処理」

 10月25日に雪国まいたけ(東証2部上場・コード1378、本社は新潟県南魚沼市)が、過年度の決算処理について「外部からの指摘により」不適切な処理が行われていた可能性があることが判明し、社内調査委員会を設置したとのIRを出しました。

 それをうけて11月5日に、「資産に計上されている土地の資産性」「営業資産の減損」「経費の計上時期」を巡り、平成11年3月期から累計で13億8400万円の「不適切な経理処理が行われていた」とする調査報告書を受領したとのIRを出しました。

 最大の問題は、これらを修正すると平成24年3月期に配当原資がなくなっていたにもかかわらず総額1億3300万円の配当を行っていることで、このままだと違法配当および特別背任の「刑事事件」となります。

 また同じく11月5日に、創業者である最大株主の大平喜信・代表取締役が辞任したのですが、後任は未定のようです。

 この問題は本年6月に退任した取締役(大平喜信氏の親族のようです)が監査役会に問題を指摘したところから始まり、たぶん証券取引等監視委員会にも文書で通報していたのでしょう。証券取引等監視委員会は情報提供(タレコミ)を推奨しており、年間7000件も寄せられているようです。

 そして8月に「早くも」証券取引等監視委員会が立ち入り検査に入ったのですが、この退任した取締役の通報で動いたのだとすれば、かなり珍しいケースです。

 ただ現時点では、あくまでも社内調査委員会の報告書を受けて雪国まいたけが「自発的に」過年度の有価証券報告書を訂正するだけで(普通は5年分です)、そこから刑事事件化するかどうかは「全く別の話」です。なぜなら8月に立ち入り検査に入った証券取引等監視委員会は「開示調査課」のはずで、過年度の有価証券報告書などを修正させて課徴金納付を勧告するだけだからです。

 刑事事件化するときは、最初から刑事告発を目的とする「特別調査課」が出動する必要があるのですが、そうなっていません。「特別調査課」が出動するときは、必ずマスコミにリークするので新聞報道が先行し、時には調査員が会社に入るところがテレビ中継されるのですが、今回のケースではそうなっていなかったからです。

 そこへ違法配当および特別背任の「容疑」が出てきてしまったのです。そうなると「特別調査課」が新たに出動して、検察庁(この場合は新潟地方検察庁)に刑事告発する必要があります。

 証券取引等監視委員会の組織としては、結構面倒なはずで刑事事件化するとしても、かなり時間がかかりそうです。また社内調査委員会の指摘をみるかぎり監査法人の責任が大きいはずですが、これもいつものように「うやむや」になってしまうのでしょう。

 雪国まいたけは、(今回の修正前で)平成24年3月期が21.7億円、平成25年3月期が19.5億円と2期連続の純損失となっており、平成25年3月末の時点で純資産が22.4億円まで減少していました。そこへ平成25年4~9月の決算予想でも16.4億円の純損失となっており、債務超過に転落している可能性が強そうです。

 話は変わるのですが、日本のキノコ市場の規模は2400億円ほどで、最大手のホクト(東証1部上場・コード1379)の平成25年3月期の売り上げが484億円、第2位の雪国まいたけが265億円です。

 つまり上位2社で日本の3割以上のシェアを占めています。これは参入障壁が高いとはいえない農産物市場では、きわめて高い市場占有率であり、同時に高い価格形成力を維持できていたことになります。

 事実、ホクトがブナシメジとエリンギ、雪国まいたけがマイタケと、棲み分けが行われていました。しかし2000年にホクトが突然マイタケ市場に参入し、それを受けて雪国まいたけが2002年にエリンギ、2004年にブナシメジ市場に参入しました。

 つまり「圧倒的シェアをもつ大手2社」が低価格競争の消耗戦に突入していたのです。高収益会社だったホクトの業績も急速に悪化し、平成25年4~9月期では6.7億円の純損失となりました。

 もちろん高いシェアを持つ企業が価格を高く維持することは、好ましいことではないのですが、過剰な消耗戦の結果の「不適切な会計処理」で株式市場における企業価値を損なってしまうことも、好ましいことではありません。