再び、何が起こった? Jトラスト

 本日(11月11日)、Jトラスト(東証2部上場・コード8508)がストップ安(400円安)の1210円となりました。大引け時点で400万株程度の売り注文を残しており、まだまだ下落しそうです。

 直接の理由は、先週末(11月8日)に発表された連結業績予想の下方修正です。2013年4~9月の経常利益が31億8200万円から16億6100万円に、当期純利益が25億9400万 円から11億4400万円に、それぞれ大幅に下方修正となりました。

 問題は発表文に書き加えられている「その理由」です。

 「連結業績におきましては、信用保証残高が増加している一方で(中略)融資残高が期初想定を下回っていることや、親愛貯蓄銀行(本誌注・韓国の消費者金融会社で2012年10月にJトラスト・グループ入り)において債権の延滞が想定を上回って増加したことによる貸倒費用の増加等によります」となっています。

 要するにJトラスト本体ではなく、最近買収した連結対象の子会社とくに韓国の親愛貯蓄銀行の経営状況が、想定よりも「かなり」悪いということです。 そもそもJトラストとは、破たんした会社などから債権を格安で買い取って猛烈に回収する一方で、過払い金の返還などには徹底的に抵抗するビジネスモデルで大きくなってきました。

 そのビジネスモデルが「うまくいっていない」ことになります。

 また韓国の消費者金融は日本よりも貸出利率が高く、一見「高収益ビジネス」にみえるのですが、SBIが嵌りこんだ現代スイス貯蓄銀行と同じで、Jトラストにとって親愛貯蓄銀行は「ブラックホール」になる可能性があります。

 また11月8日の発表では、2014年3月期の通期連結業績予想は、経常収益173億円、当期純利益150億円のままで据え置かれました。ところが書き加えられている「その理由」が、もっと問題です。

 長文なので要約しますと「親愛貯蓄銀行など新規に連結子会社になった会社等については、当該会社が海外に所在する場合においては現地の会計原則に従ってきましたが、平成26年3月通期決算においては貸倒引当金計上についても、当社グループの基準に統一すべく適時開示業務の体制を整えているところであります」となっています。

 つまり、特に親愛貯蓄銀行の資産内容が「本社の会計基準に直すと、どれほど悪いのか想像がつかないので通期決算予想が正確に出せません」といっているのです。同時に金融庁から指摘されたことによる措置のような気がします。

 繰り返しですが、(良いことか悪いことかの議論ではなく)Jトラストの急成長と株式市場の高評価を支えていたビジネスモデルが、実は「ガラクタ」だった可能性も出てきたのです。

 その株式市場の高評価で本年7月には、ライツイシューで976億円もの巨額資金調達を成功させています。

 そのライツイシューでは、6242万株だったJトラストの発行済み株数に対し、何と5426万株も新たに発行されました(払い込み価格は1株=1800円)。

 ライツイシューとは既存株主に新株予約権を無償で割り当て、払い込む意思のない株主には新株予約権の換金の機会が与えられるもので、「既存株主の利益が損なわれない」として当局が大変お気に入りの資金調達方法です。

 公募増資のように値決め前にヘッジファンドなどの「売り仕掛け」が入らないからのようですが、その分「何となく期待して持ち続ける株主」が増えることになり、何か悪いニュースが出ると「ビックリして大量に売り物が出る」ことになってしまいます。

 8月23日にも一時ストップ安となり、直後に1325円の安値となっていました。8月27日付け「何が起こった? Jトラスト」に書いてあります。

 本日は1210円と、その安値も下回ってしまったのですが、Jトラストの株価は昨年5月の分割直後の安値が564円です。もちろん体制は今と全く同じで、藤澤社長を先頭に同じビジネスモデルに邁進していた時期の株価です。

 ここ1年以上、株式市場は藤澤社長の手腕を「過剰評価」していたのかもしれません。