ターボリナックスの「夢のようなシナリオ」

  ターボリナックスHD(JASADQ上場・コード3777)が10月30日に、臨時株主総会を12月24日に開催するとIRしていたのですが、11月8日にその議題として「定款変更(新規事業として再生医療および再生可能エネルギー事業を行うため)」「第三者割当による新株および新株予約権の発行」「新任取締役1名の選任」を決定したとIRしました。

 ターボリナックスは平成17年に大証ヘラクレス市場(当時)に上場し、一時期ライブドアの子会社だったのですが、その後はお決まりの「漂流」を続けて典型的な「ハコ」企業となっていました。

 平成24年12月の通期決算では、売上がわずか1億700万円、経常利益が9500万円の赤字で、3800万円の債務超過に転落していました。債務超過に関しては、上場が維持される猶予期間は平成25年12月31日(つまり来月)までとなっています。

 本年に入ってからは、5月に債務の株式化や新株予約権の発行(権利行使)などで約1億円の資本増強を行いましたが、現時点でも債務超過は解消されていません。

 つまりいよいよ上場廃止が迫っているわけです(実際には有価証券報告書が提出される来年3月に上場廃止となります)。

 だいたいそのような会社には「各種の怪しい勢力」が接近してくるものですが、ターボリナックスにはタイムリミットぎりぎりの12月24日に臨時株主総会を開催し、「新株発行」で債務超過を解消して「新規事業」で収益の出る会社にするという「夢のようなシナリオ」が持ち込まれたようです。

 しかしその「夢のようなシナリオ」を持ちかけたのが、かつてボディソニック(現ソーシャルエコロジープロジェクト)とクォンツの代表取締役をつとめ、アーティストハウス、オープンループ、イチヤ、クロニクルなどとの関わりも取り沙汰されていた(実名は控えますが)Y氏のようです。

 まあソーシャルエコロジー以外は、すべて「ごたごた」の結果に上場廃止となっているため、Y氏とは株式市場や関与した上場会社にとって「夢のようなシナリオ」を提供できる方ではなさそうです。

 11月8日に発表された「新株および新株予約権の発行について」のIRでは、12月24日開催の臨時株主総会での承認を条件として、翌25日に1株=570円で2億円の新株と、行使価格が同じく570円の新株予約権を(行使されれば)3億円分発行します。 新株予約権の行使は来年に入ってからと思われるので、債務超過を解消して上場を維持するために12月25日に払い込まれる(はずの)2億円が絶対条件になります。

 ターボリナックスの株価は、10月中旬が600円台だったのですが、10月下旬から急上昇して11月7日に2510円の高値となり、本日(11月12日)は1337円です。

 (実現するかどうかはともかくとして)債務超過解消の具体案がIRされたのが11月8日なので、「インサイダー取引」が強く疑われます。

 また新株の払込価格および新株予約権の行使価格の570円は明らかな「有利発行」ですが、臨時株主総会の承認を条件としているのでJASDAQ取引所も関東財務局も「特に問題とせずに」承認したのでしょう。

 それでは具体的にどうするのでしょう?

 それはY氏と親しかった故西田晴夫氏の得意技だった「ターボリナックス株を市場で買ってくれたら、発行される新株を(例えば)800円で特別に分けてあげる」とブローカーに大号令をかけます。株価が上昇すればするほど、特別に分けてあげる価格が上昇し、Y氏の儲けは増えます。

 ブローカーはあちこちに「いい加減なこと」をいって買わせるのですが、「新規事業」も怪しいもので、債務超過解消以外によい材料はありません。

 しかし株価が下落し、発行価格の570円に「Y氏の儲け」を加えて誰も買わなくなってしまったらどうなるのでしょう? いうまでもなく2億円は払い込まれずに債務超過は解消せず、ターボリナックスは3月にも上場廃止になってしまいます。

 そのような危うい仕組みなので、十分にご注意ください。