まだまだ終わっていないオリンパス事件

 先週はJトラストについて3回も書いたので、いろいろなコメントを頂戴しました。中には風説の流布東証に通知してくださった方もいらっしゃるようですが、本誌は当局各部に「鵜の目、鷹の目」でチェックされていることを十分に「意識」して書いています。

 本日も、そのように「意識」して書いた記事です。

 巨額損失を隠していたオリンパスの刑事事件は、本年7月3日に東京地方裁判所で判決が下されました。法人としてのオリンパスに対しては罰金7億円、損失隠しを「主導した」とされた菊川社長(当時)ら幹部3名には執行猶予付きの有罪判決が下され、それぞれ確定しました。

 株価の値下がりによる損害賠償請求を巡る民事裁判では(株価はすっかりもとに戻っているのですが)、本日(11月8日)テルモに対して60億円の和解金を支払うことで合意し、これとは別に208億円と168億円の損害賠償を求める裁判を起こされています(11月8日付けIRより)。

 これらを受けてオリンパスは訴訟損失引当金を170億円積み、平成26年3月期の通期決算予想の純利益を300億円から130億円に下方修正したのですが、営業利益は逆に710億円から725億円に上方修正しており、相変わらず本業は好調のようです。

 また7月25日払い込みの公募増資と自社株売り出しで1100億円以上を調達しています。つまりオリンパスは「何事もなかったように」復活しているようです。

 しかしオリンパス事件は、まだまだ終っていません。

 海外では9月3日に英国重大不正捜査局(SFO)に訴追されています。米国司法当局は英国当局と必ず連携しており、またアクシーズ・アメリカ代表の佐川肇氏とチャン・ミン・フォン氏とは間違いなく司法取引をしており、準備万端のはずです。

 しかし本日書きたいことは海外関係ではなく、日本での話です。つまりオリンパス事件は、日本でもまだまだ終わっていないのです。

 損失隠しの指南役と認定された中川氏と、横尾氏ら3名の刑事裁判が、まだ始まっていません。別々の裁判となるのですが、中川氏が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で起訴されているのに対し、横尾氏ら3名は同じ金融商品取引法違反に加えて詐欺罪でも起訴されており、さらに本年6月には組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等秘匿)で再逮捕・追起訴されています。

 特に横尾氏ら3名はもともと警視庁が逮捕したのですが、いまだに身柄を拘束されています。これは立証の難しい詐欺罪が含まれていることに加えて、頑強に否定しているからだと思われますが、そのためか組織犯罪処罰法違反まで持ち出されてしまいました。

 これはオリンパスから受け取った報酬を犯罪収益金として没収しようとするものですが、かなりの「無理筋」です。さらに不思議なことに組織犯罪処罰法違反で再逮捕したのは東京地検特捜部と報道されています。

 報道が間違いなければ警視庁の取り調べを差し置いて東京地検特捜部が出てきたことになり、現場の混乱が伺われ、裁判も簡単ではないような気がします。

 それでは金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)だけで起訴されている中川氏の裁判は簡単なのでしょうか?

 確かに同罪で起訴されていた法人としてのオリンパスと菊川社長(当時)ら3名は、すべて有罪が確定しており、このままだと簡単に終わってしまうことになります。

 しかし事件発覚以来、第三者委員会の調査報告書、東京地検特捜部の捜査内容(報道から)、東京地方裁判所への起訴内容と判決要旨などをみていると、数多くの重大な事実に蓋がされています。本誌も「えっ、何で素通りするの?」と驚いた点がいくつもありました。

 まあ粛々と有罪にするためには「邪魔」だからで、今回も東京地検の公判部は「さっさ」と片付けてしまうつもりでしょうが、その「蓋をされた重大な事実」の一端でも表に出てくれば、また大騒ぎになるかもしれません。

 本誌としては、この2つの裁判に結構注目しています。

 またオリンパスの記事をいくつも書く機会がありそうです。