特定秘密保護法案の衆議院通過に思う  その2

 昨日の続きです。そこで書いた「亡国の3点セット」がなぜ問題なのか?とのコメントをいただいていましたので続けます。

 「亡国の3点セット」とは「集団的自衛権の行使」「日本版NSC設置」に「特定秘密保護法案」を加えたものです。その意味するところではなく、それぞれが「承認」されていく過程そのものが「まさに亡国」なのです。

 まず「集団的自衛権の行使」とは、同盟国(米国のことです)が攻撃されたとき、または同盟国ではなくても日本に安全保障上不可欠な国の求めに応じて共同軍事行動をとるものですが、従来は防衛以外の武力行使を禁じる憲法9条に違反していると考えられていました。

 安倍首相は8月に、内閣法制局長官の序列を無視して「集団的自衛権の行使は憲法9条に違反していない」と主張する小松一郎・駐フランス大使を起用しています。自動的に「集団的自衛権の行使は合憲」となってしまいます。

 次に「日本版NSC」とは、首相・外務大臣・防衛大臣・官房長官で構成される国家安全保障会議(日本版NSC)が外交・安全保障政策の基本方針や中長期的戦略を決めるものです。昨日(11月27日)参議院でも承認され、正式に設置されることになりました。

 米国NSC(大統領・副大統領・国務長官・防衛長官で構成される)は、各省庁や陸海空軍やCIAなどの枠組みにとらわれずに外交・安全保障政策を取決める文字通りの最高意思決定機関です。日本版NSCとは米国NSCと継続的協議ができるように同等の権限を備えたものとして、米国政府がその設置を要請していたものです。

 2007年の第一次安倍内閣でも設置に動いたのですが、辞任で立ち消えになっていました。後任の福田康夫首相(当時)が撤回していたからです。

 その実務を取り仕切る内閣安全保障局の初代局長には、内閣官房参与でもある谷内(やち)正太郎・元外務事務次官の起用が確定的です。

 そして最後の「特別秘密保護法案」とは、日本版NSCが米国NSCと「同盟国として」継続的協議を行うために、米国の軍事秘密などが外部に漏れることがないように不可欠となります。

 要するに、自衛隊が米国と共同で軍事行動をとるためには「集団的自衛権の行使」が合憲でなければならず、その行動を決定する米国NSCと継続協議ができるような権限を備えた「日本版NSC」を設置せねばならず、そのためには「特定秘密保護法案」が絶対に必要となるのです。

 本誌はこの「3点セット」が本来の趣旨で運営されていくならば、必ずしも国益上「排除すべきものではない」と考えます。実際にも最近は対中国、対韓国を巡る米国の態度が「やや日本寄り」になってきたような気もしています。

 最大の問題は、国民にその趣旨をじっくりと説明しながら大所高所から議論を重ね、十分に民意を反映する形で堂々と国会で承認を求めるべきものが、よくわからないうちに大急ぎでコソコソと決められてしまった過程そのものです。

 明らかに主権者である国民が完全に排除されており、国民の代表で構成されている(はず)の国会が機能不全になっているのです。昨年の消費増税でもそうだったのですが、いつの間にか国民が選んだ政党や議員が「ホラー映画のように変身している」のです。

 さらなる問題は、「国益よりも自らの勢力と権益を優先する官僚組織」が、この3点セットを自由自在に拡大解釈・拡大活用し、さらには米国政府の思惑までも利用して「官僚組織にとっての万能の武器」に仕立てあげてしまう恐れがあることです。

 例えば、日本版NSCは外交・安全保障政策の最高意思決定機関となるのですが、実際の運営は官僚が主導する内閣安全保障局が取り仕切ります。首相など時の権力者はいずれ交代するのですが、官僚組織と「3点セットの枠組み」は未来永劫に存続し、いつの間にか「思いもよらない形」になっているかもしれないのです。歴史的には多くの事例があります。

 これこそが「亡国の3点セット」となるのです。国民に趣旨をじっくりと説明せずにコソコソと決めてしまったので、ますますその恐れが強くなります。

 最後に、本誌の記事が「代替案・改善案に乏しい」とのコメントもいただいています。

 あまり理想論ばかりを展開しても意味がないのですが、今後はもっと積極的に実現可能な案を書いていくことにします。