信任されたアベノミクスの正体

 12月14日に投開票された衆議院選挙は、大方の予想通りに自民・公明の連立与党が3分の2を上回る326議席を獲得しました。

 これでアベノミクスが信任されたことになり、たぶん向こう4年近い日本の経済政策となります。

 そもそも今回の衆議院選挙とは10%への消費税引き上げ実施を2017年4月まで延期することに対し国民の信を問うためだったはずですが、いざ選挙戦になると本当は消費増税に大賛成の自民党幹部の意向からか全く論議にならず、野党もアベノミクスの信任を問うと矛先を変更したため、ますます意味のわからない選挙となってしまいました。

 その結果が52.67%(前回は59.32%)と史上最低となった投票率で、小選挙区自民党の総得票数が2552万票しかない中での「大勝利」となりました。

 これで「もっと異次元となった」量的緩和も自動的に信任されたことになり、同時に2017年4月まで延期されたとはいえ10%への消費増税も「正式に決定」されてしまいました。今回は「景気条項」が外されてしまったはずだからです。

 増税実施時期の2017年4月以前に「もっと異次元となった」量的緩和が縮小あるいは終了となる可能性はほとんどなく、少なくともここから2年4か月も続くこととなります。

 本日(12月15日)の日経平均は朝方から300円超の急落となり、結局272円安の17099円と約1か月ぶりの安値となりました。先週末(12月12日)のNY株式が原油価格の続落で315ドル安となった影響もありますが、少なくとも衆議院選挙の結果が株式市場で大歓迎されたわけではなさそうです。

 つまり2017年4月まで延期されたとはいえ10%への消費増税は「正式に決定」されたので、ここからは安倍首相はともかく旧大蔵省(日銀を含む)は何が何でも株価を上昇させる必要はなくなってしまったことにもなります。

 一方で国債利回りは低下を続け、本日夕刻では2~3年国債利回りがゼロ、5年国債が0.07%、10年国債が0.37%、20年国債が1.12%となっています。

 海外では原油価格の急落でロシアやベネズエラは経済・金融危機の一歩手前となり、暫く小康状態だったユーロ圏の債務危機ギリシャが三度(みたび)きな臭くなってきています。

 つまり海外で経済・金融危機債務危機が発生する可能性は着実に上昇しています。本年は1~2月にアルゼンチンから新興国全般に通貨安・株価安が広がった時期があったのですが、そのときに比べて日本経済の抵抗力は各段に低下しています。

 さてこうのような状況下で、「もっと異次元となった」量的緩和を少なくとも2年4か月も継続したらどうなるでしょう?

 日銀は短期国債を除く国債(長期国債と呼んでいます)の保有残高を年間80兆円も増やすのですが、短期国債を除く国債の発行残高は年間30兆円程度しか増えません。そこから80兆円を買い入れることになります。

 全ての年限の国債利回りは一層低下することになり、とくに一層低下する長期金利が日本における期待投資収益・企業収益を一層低下させ、ますます投資意欲を減退させて日本の経済成長を損なってしまいます。

 つまり日銀が「もっと異次元になった」量的緩和を継続すればするほど、日銀の意に反して経済が減速して物価が低迷してしまいます。つまりデフレになってしまうのです。

 さらに「もっと異次元になった」量的緩和は当然に円安を継続させることになり、低金利を嫌った国内資金が大量に海外に流出してしまい、その結果、現在では国内資金でファイナンスできている1000兆円の公的債務がファイナンスできなくなってしまいます。

 つまり「もっと異次元になった」量的緩和は、円安を通じて日本の財政破たんへの「近道」となるのです。

 つまり「もっと異次元になった」量的緩和は日本にとって「亡国の金融政策」であり、それに2017年4月まで延期されたとはいえ10%への消費増税が正式に決定される「亡国の財政政策」が加わるのが、圧倒的に国民に支持されたアベノミクスなのです。