本当に心配になってきた国債利回りの低下 その3

 今週はこの話題だけになってしまいますが、非常に重要で奥行きが深い話題なので、もう1回だけ続けます。

 本日(10月25日)は10年国債利回りが0.31%と、「異次元」量徹緩和が導入された直後の2013年4月5日の0.315%を下回る史上最低利回りとなりました。

 また本日実施された2年国債入札では、平均落札利回りがマイナス0.003%と、初めてのマイナス利回りとなりました。わずかですが政府(旧大蔵省)に国債発行益(?)が発生することになります。

 さて本誌は「円を国際通貨にするために海外投資家の国債保有を推進するべき」と主張していたのではないか?とのコメントをいただきました。

 「今はそう考えていないのか?」という意味だと思いますが、本誌はもとより1000兆円をこえる公的債務を「少しばかり」減らすために増税して日本経済を大不況に陥れてしまうのではなく、円を国際化して海外での円の流通量や保有額を増やせば、その運用手段として日本国債の海外保有が増えるので「財政破綻」の心配は無用になると考えています。

 今でもそう考えていますが、残念ながら政府や日銀が低金利と円安に拍車をかけ、円の価値がどんどん目減りしてしまう政策を強行しているため、こんな日本国債を「進んで」保有してくれる外国人投資家などいるはずがありません。ますます日本の公的債務は国内資金でファイナンスしなければなりませんが、その肝心の国内資金が低金利と円安を嫌ってどんどん海外に流出してしまっているのが現状です。

 じゃあもうお手上げで日本はいずれ「財政破綻」してしまうのか?ですが、それでも方法がないわけではありません。

 

 低金利の方は日銀の「もっと異次元になった」国債買入れだけではなく、日本の潜在成長率がどんどん低下してインフレ率もどんどん低下しているため、簡単に海外投資家を引き付けるような高金利にはなりません。

 それでも円を(海外投資家家からみて)値上がりさせればよいだけで、具体的には「円を毎年2~3%の割合で円高」にすれば、日本国債米国債よりも「高利回り」となります。

 現在の「2%の物価上昇目標」は円の価値を年2%ずつ目減りさせる政策に外ならず、今の日本には「弊害」でしかありませんが、これは別の機会に詳しく書くことにして次に進みます。

 国内資金の海外流出が進み日銀当座預金が取り崩されても、日銀は日銀券を発行すれば保有国債を売却しなくても済むはずでは?とのコメントもいただいていますが、これは間違いです。

 銀行は当座預金残高の一部を日銀券に交換することはできますが、国内資金(預金)が海外に流出して当座預金残高を取り崩してしまうと、その分を日銀が日銀券で補填してくれるわけではありません。

 日銀は国債を銀行から買い入れるときもその代金を銀行の当座預金勘定に入金しており、それを資金が余っている銀行が「放置」しているだけです。また国債も政府が発行して民間の銀行などが一旦引き受け(代金を支払い)、それを日銀が買い入れて(代金を支払って)います。

 つまり日銀は政府にも銀行にも、日銀券を「無償」で交付することはありません。

 この唯一の例外が短期国債で、日銀は短期国債を直接引き受けることができますが、これは短期国債が基本的に同一年度内に償還されてしまうので問題がないとされています。1年以上の国債を日銀が直接引き受けると「無償」の日銀券が政府に交付されることになり、ハイパーインフレになるかどうかはともかく、財政規律が目茶苦茶になり日本の(日本国債の)国際的信用が一気に失われます。

 最後に「低金利」のメリットと考えてもよさそうなものを1つだけ挙げておきます。

 本年11月時点ですが、米国株のPERが18倍、PBRが2.9倍、配当利回りが1.9%、10年国債利回りが2.2%でした。これに対して日本株のPERが16倍、PBRが1.5倍、配当利回りが1.7%、10年国債利回りが0.4%でした。

 ここから何かを結論づけるつもりはありませんが、日米の10年国債利回りを比べると日本株が(とくに配当利回り)が大変に「お得に」みえます。単に日本企業が「必要以上に配当を支払っているだけ」かもしれませんが、これが低金利の唯一のメリットです。