中国経済の「減速」とは

 中国国家統計局が1月20日に、2014年10~12月期のGDPが実質で前年同期比7.3%増加したと発表しました。

 いつも思うのですが、中国の経済統計はすべて驚くべき速さで発表されます。日本の2014年10~12月期GDPは2月16日に発表予定で、中国よりも1か月も遅れます。別に発表が遅いほうが好ましいと考えているわけではありませんが、あれだけ広くて人口の多い中国の経済統計がこんなに早く集計できるはずがありません。

 まあ中国の経済統計とは、日本でいう経済見通しのようなもので、中国指導部が「これくらいにしておこう」という数字であるはずです。中国とは中国共産党一党独裁計画経済であることを忘れてはなりません。

 2014年通年の中国GDP成長率は実質7.4%で、2013年の7.7%から0.3%の減速となりました。ちなみに2012年も7.7%、2011年が9.3%、2010年が10.4%、2009年が9.2%、2008年が9.6%、2007年が14.2%だったため、リーマンショック時もそれほど減速しなかった中国経済が2012年以降の3年間は7%台半ばの成長率に「減速」したことになります。

 2015年の中国経済は7%前後の成長率となりそうで、いよいよ中国経済がもっと「減速」すると懸念されています。

 

 「懸念」しなければならないことは2015年の経済成長が7%前後まで「減速」することではなく、そもそも中国経済の本当の規模も成長率も世界が(中国国内でも)理解している姿より「はるかに小さくて低成長である」恐れがあることです。

 そして中国国内はもちろん世界中がこの「水増しされた」中国経済の規模や成長率を前提に設備投資や生産活動を進めてしまっている恐れがあることです。これこそが2015年の日本を含む世界経済にとって最大の懸念というより「恐怖」です。

 よくいわれるのは中国の電力消費量や鉄道貨物輸送量の伸びが低いことですが、何よりも1月9日(これも早い!)に発表された2014年12月の消費者物価指数が前年同月比で1.5%の上昇でしかなく、卸売物価指数に至っては同3.3%もの下落となっています。

 2014年通年の消費者物価指数は前年比で2.0%の上昇でしかなく(政府目標は3.5%)、そこから食料品を除くと0.8%の上昇でしかありません。

 とても7%台半ばで成長している国の物価ではありません。

 そんな中国のGDP統計をみて議論することにあまり意味がありませんが、中国GDPの内訳は個人消費が36%(日本が59%、米国が71%)であり、これに対して総固定資本形成が47%(日本が20%、米国が15%)もあります。

 数字はすべて概算ですが、中国経済とは公的・民間の固定資本形成(ほぼ投資と同じ意味です)に過大に依存した経済であり、これが更なる過剰設備・過剰生産を加速させていることになります。

 2015年は「当面の米国」だけを除いて、新興国・資源国を含めて経済が世界的に減速しており、原油などの資源の余剰感が拡大しているため、ますます中国経済の実体との「ギャップ」が大きくのしかかってくるはずです。

 繰り返しですが、日本を含む世界経済にとって最大の「恐怖」とは、2015年の中国経済が7%前後まで「減速」することではなく、理財商品がデフォルトすることでもなく、どれだけ水増しされているか誰にもわからない中国経済の規模や成長率を前提にして、世界中が過剰生産・過剰資源開発を進めてしまっていることです。

 それでも2014年の中国名目GDPは63兆6463億元(1209兆円)もあり、488兆円と推測される日本の2.5倍にもなります。

 2010年に日中の名目GDPが逆転したのですが、そこから「あっ」という間に大きく離されてしまったことは事実です。まあ中国の数字を信用しているわけではありませんが、日本の1992年の名目GDPが現在と全く同じ488兆円であり、日本経済はここ24年間全く成長していないことも事実なのです。