日本も「マイナス金利」にしたら?

 1月22日の理事会でECBが量的緩和に踏み切ると発表して以来、ドイツなどの買入れ対象となる国債だけではなく、利上げが近いはずの米国も含めて世界中で国債利回りが低下しています。

 本年になってから金融緩和・量的緩和に踏み切る国が相次ぎ、本日(2月3日)もオーストラリア中央銀行が利下げ(2.5%から2.25%)を行いました。世界中が新たな金融緩和・量的緩和のサイクルに入ったようにみえます。

 そんな中で日本国債だけが逆行しています。本日の10年国債入札が大変不調で(平均落札価格と最低価格の差であるテールがみたこともない45銭!)、利回りが一時0.365%まで上昇して、余波で日経平均も222円安になってしまいました。10年国債利回りは1月20日に一時0.195%まで低下していました。

 これは今さらながら日本の公的債務残高が1000兆円をこえているとか、円安で日本に対する国際的な信認が低下しているとか、はたまたヘッジファンドが売り仕掛けているとかではなく、単なる買われすぎの水準訂正でとくに心配する必要はありません。

 したがって本日の書きたいことも、これではありません。

 何度か書いていますが日銀の「もっと異次元になった」量的緩和の弊害は、長期金利低下による景気刺激効果より、金利水準全般の低下で(日本における)投資全般の収益予想が低下してしまい投資減退・景気後退となる効果の方が「圧倒的に大きい」ことです。

 つまりここからの日銀量的緩和は、景気をますます後退させデフレを加速させることになります。

 さらに日本の銀行は大変に「高コスト体質」なので、住宅ローン金利を含む長期貸出金利(固定)が1.1%を下回れず、ここからの長期国債利回り低下は貸出金利低下にまったく結びつかない「無駄でしかない利回り低下」となります。

 本誌が最も恐れていることは、先日のECBの量的緩和導入決定でユーロ安・株高となったことから、日銀が安直にさらなる量的緩和に踏み切ってしまうことです。当然に一層の景気後退とデフレ加速となるだけではなく、さらなる円安で日本からますます資金が流出して今度こそ1000兆円をこえる公的債務残高を支えきれなくなってしまいます。

 それでもどうしても日銀が追加金融緩和を行うというのであれば、弊害しかない追加量的緩和ではなく、今度こそ「マイナス金利」を導入すべきと考えます。

 ECBと同じように政策金利短期金利)の運用側金利(下限金利)をマイナス0.2%くらいにすれば、長期金利が現状のままでも利鞘が拡大して銀行の貸出意欲が増大し、民間でも投資意欲が増大する効果が「少しくらい」は期待できます。

 そうなると預金金利もマイナスとなりますが、預金残高が300万円以下とか所得が一定以下の預金者とかお年寄りなどは「対象外」として、大口の法人預金とか富裕個人の預金だけにマイナス金利を適用します。

 まず銀行の調達コストが下がるため(たぶんマイナスになります)、銀行員の高額な給与水準を維持したままでも長期貸出金利を下げられるはずです。10年固定の住宅ローン金利(現在メガバンクでは1.1%)が0.8%くらいになれば「少しくらい」は効果があるかもしれません。

 そうすると現在178兆円もある日銀当座預金(なんと0.1%の金利を支払っています!)の金利もマイナス0.2%にしなければならず、銀行が一斉に当座預金を引き出すため日銀の「異次元」な国債残高を維持できないのでは?との懸念が出てきます。

 しかし日本全体の短期金利体系がマイナスになるので銀行はどこに資金を移しても同じであり、わざわざ日銀に睨まれながら当座預金を全額取り崩してしまう「勇気ある銀行員」はいないはずです。

 要するにマイナス金利といっても難しく考える必要はなく、ただ金利の下限がゼロ以下になるというだけです。

 もちろん「どうしてもそうすべし」と考えているのではなく、日銀が景気対策のために(2%の物価上昇を実現するために)何かしらの追加緩和を行いたいのであれば、弊害しかない追加量的緩和ではなく「少しくらい」は効果がありそうなマイナス金利導入にすべしと考えているだけです。

 どうですかね? 黒田総裁。