NHKの「預金封鎖」報道の背景とは?

 本日の記事は、3月2日に配信した有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」のメインテーマ「今世紀の高値を更新している日経平均を検証する その2」の一部です。ちょうど関連するコメント(リクエスト)をいただきましたので、この部分だけを加筆修正して掲載します。

 以下、本文です。

 

 少し古い話になりますが、2月16日午後9時のNHK「ニュースウォッチ9」で「預金封鎖」に関する報道がありました。預金封鎖は終戦直後の1946年2月16日に断行されたため、単にその69年目の記念日だっただけかもしれませんが、NHKが唐突に預金封鎖を取り上げた背景が気になります。

 実はNHKは2012年12月23日にも「NHKスペシャル」で日本国債大暴落論を展開し、財政再建がなければ(消費増税を行わなければ)財政が破綻して国民の預金が封鎖されてしまう恐れまであると「寸劇を入れて大げさに」伝えていました。

 当時も、あまりにも「お粗末な内容」だったのでよく覚えていますが、結局は消費増税が強行されてしまいました。2017年4月まで延期されたものの10%へ引き上げられることは確定しています。

 つまりNHKとは、会長は大変にお粗末でも、その報道には決して意味がない訳ではありません。そこで何でいま「預金封鎖」だったのか?を考えてみましょう。

 1946年2月16日に断行された預金封鎖とは、戦費調達のために大量に発行された国債の大半を日銀が引き受けて「大インフレ」となっていたので、「流通する通貨量を大幅に減少させて大インフレを鎮静するため」と国民に説明されていました。

 

 まあ現代風にいえば「日銀が国債を異次元に買い入れてマネタリーベースを拡大すれば、2%のインフレが実現するほど景気が良くなる」みたいなものだったのでしょう。

 実際の預金封鎖とは、新円の切り替えに際して旧円からの交換を1人あたり100円だけに制限し、預金の引き出しを1か月に世帯主300円、家族1人100円に制限し、また給料支払いも1か月500円までと制限しました。

 そして封鎖された預金に対し、残高10万円以上に対する5%から1500万円以上に対する90%まで累進する高額の財産税を課して1947年11月に徴収してしまいました。その税収合計は400億円で、1947年の一般会計は2100億円ほどでした。

 預金封鎖は1948年7月に解除されましたが、物価上昇率は1946年に514%、1947年が169%、1948年が193%にもなったため、封鎖されている間に預金価値は単純計算で17分の1になってしまいました。そして公的債務も17分の1になりました。

 ところが封鎖されたのは預金だけだったため、封鎖される直前に「何からの情報を得て」株式や土地を購入していれば、急激なインフレもあり巨額の財産となったはずです。

 小佐野賢治森泰吉郎(森ビル創業者)らがその恩恵を受けたようです。

 つまり当時の預金封鎖とは、インフレを鎮静するどころか、国民から資産税とインフレ税を強引に徴収するためのものでした。インフレとは国民の負担のもとに公的債務が目減りするので、国民にインフレ税を課したのと同じ効果となります。

 それではNHKの報道が旧大蔵省の意向を受け入れたものとして、その預金封鎖を現在の旧大蔵省の「思考回路」に当てはめて考えてみましょう。

 現時点の旧大蔵省は「消費増税」「法人減税」「最高税率の多少の引き上げ」の組み合わせが基本線で、資産税については全く考えていません。やはり税金は社会的弱者から強制的に吸い上げるのが簡単で抵抗が少ないからです。

 それではインフレ税はどうか?ですが、旧大蔵省傘下となった日銀は今でも「2%の物価上昇目標」に固執しています。世界的にインフレ率が低下しているなかで大変に違和感のある主張ですが、意外に旧大蔵省は「真剣に」インフレによる公的債務の実質減額(いわゆるインフレ税)を考えているのかもしれません。

 そうなると黒田総裁(旧大蔵官僚です)や岩田副総裁(その提灯持ちです)が繰り返す「2%の物価上昇を実現させる」が、また少し違った意味合いに聞こえてきます。