雪国まいたけのTOB成立

 4月6日まで行われていたベインキャピタルによる雪国まいたけへのTOBは、自己株を除く発行済み株数の78.33%に相当する2779万株余の応募があり成立しました。資金決済は4月13日と発表されています。

 今後のスケジュールは、その4月13日を基準日とする臨時株主総会が5月中旬に開催され、そこで定款変更・種類株の導入・全株買入れなどを決議して上場廃止となるはずです。

 TOBへの応募状況は発表されませんが、創業者で資産管理会社を含めて持ち株の大半を第四銀行などの担保権行使で「奪われた」大平喜信氏の一族や関連企業は、全て応募したようです。

 一方で、TOB開始直後から市場で買い集めて10%超の大株主として登場したプロスペクト(東証2部上場・コード3528)傘下のファンドは応募していないはずで、今後は個別に買い取り価格の引き上げを求めて法廷闘争に持ち込むと思われます。

 そうなればTOB価格の妥当性が争われることになりますが、現在の雪国まいたけの収益や純資産を見る限り、TOB価格が「低すぎる」という判断は出ないような気がします。

 それよりも雪国まいたけの決算は3月31日なので、その時点ではベインキャピタル傘下の買付会社は株主ではありません。TOB資金決済と名義変更は4月13日となっているので、厳密にいえば3月31日現在の株主を対象に定時株主総会を6月末までに開催しなければならないはずです。

 しかし何かとベインキャピタルTOB成立に「便宜」を図っていると思わざるを得ない金融庁東京証券取引所が、どのような「理屈」をつけて定時株主総会を回避させてしまうのかが見ものです。

 まあTOBの成立自体は予想されていたため別段の驚きはありませんが、問題はTOBに至るまでの過程です。

 

 少なくとも資産管理会社や一族を含めて6割以上の株式を保有していた大平喜信氏を、(もう金融庁が容認しているので問題になることは考えられないものの)インサイダー取引等の疑いの残る強引な手法で株式を取り上げてまで放逐し、しかも海外ファンドハゲタカファンド)に売り渡してしまう行為に、いかなる経済的合理性も見出せないからです。

 どの報道をみても、創業者であり大株主でもある大平氏雪国まいたけの経営に関わること自体がコンプライアンス上の問題であると書かれているだけです。

 それではそのコンプライアンス上の問題があるとされる大平氏に代わって、現在の雪国まいたけの経営陣に名を連ねるメンバーがとった行動とは、コンプライアンス重視に名を借りて雪国まいたけを「ハゲタカファンド」に売り渡してしまったことだけです。

 類似した事例は大変に多いのですが、こちらの方がよほどコンプライアンス上の問題があると感じます。

 実は本誌は、この一連の過程の中で「誰がどういう背信的な役割を果たしたか」を客観的に完全に把握しています。時期が来たら明らかにするつもりです。

 最大の問題は、その流れに第四銀行をはじめとする取引銀行や当局までが「乗せられてしまった」ようにみえることです。

 第四銀行をはじめとする取引銀行は、ベインキャピタルに今回のTOB資金(総額で88億円)の大半を用立てするはずです。そしてベインキャピタルの傘下の買付会社は雪国まいたけと合併するので、これらの取引銀行の貸付金は300億円を大きく上回ります。

 ハゲタカファンドに経営権を売り渡してしまえば、その300億円以上の貸付金が安全に回収できると考えているなら、「おめでたい」としか言いようがありません。

 さらにベインキャピタルは、TOB成立まで「引き続き経営はお任せします」と煽てて(おだてて)いたはずの現経営陣を全員解雇します。100%株主なので一瞬で解雇でき、それがハゲタカファンドの手法です。

 もし本当に現経営陣が「TOB成立後も自由に経営をやらせてもらえる」などと考えていたならこれも「おめでたい」話ですが、逆にもし何かしらの(TOBを成功させた)報酬が約束されていても、非上場会社となるので外部からはわかりません。

 繰り返しですが、こちらの方がよほどコンプライアンス上の問題があることになります。