日本にある金(きん)をめぐるエピソード 2題

 本日(4月22日)の日経平均終値は224円高の20133円と、15年ぶりの20000円台となりましたが、昨日予告した話題にしました。

 エピソード その1

 日本政府が公的保有する金は765トン(2460万トロイオンス)で、すべて外為資金特別会計(外貨準備)に計上されて毎月「値洗い」されています。3月末は292億ドル(3兆4700億円)となっています。外貨準備に占める割合は2.4%ほどです。

 金の比重は19.3なので、この765トンは39.6立方メートル、だいたい一辺が3.4メートルある立方体の金塊となります。それではこの金塊はいったいどこにあるのでしょう?

 日本国内にはなく、NY連銀の地下金庫に「預けて」あることになっていますが、じゃあ財務官僚がNY連銀まで行って確認してきたという話も聞いたことがありません。それとも年1回くらいNY連銀から「残高確認書」みたいなものを貰っているのでしょうかね?

 ところが日本にあるはずの金に関しては、もっと不思議なことがあります。

 日本銀行のバランスシートは10日毎に発表されていますが、その資産には4412億円の「金地金」が計上されています。ところがこの金額は「ずっと」同じ金額のままです。

 日銀のHPで遡れる2005年初めでも4412億円で、もっと以前から4412億円だったような気がします。

 日銀は保有する株式などの資産を時価評価していないようですが(外為だけは値洗いしているようです)、仮にニクソン・ショックの1971年8月以前から「保有」していたとすると、1オンス=35ドル・1ドル=360円だったので3500万トロイオンス(1088トン!)と、外貨準備よりも大きな「金地金」を日銀は保有していることになってしまいます。

 まあ間違ってもそんなはずがなく、第二次世界大戦直後にダイヤと共にすっかりGHQに持ち出されているはずでが、今でもしっかりと日銀のバランスシートに計上されています。

 

 日銀政策決定会合後の記者会見で、誰か黒田総裁に「物価上昇目標はいつ実現しますか?」などと意味のない質問はやめて、「日銀の資産に計上されている金地金を見せてほしい」くらいいってみるべきでしょうね。


エピソード その2

 日本の金の公的保有は長い間変化していませんが、一度だけ1986年に「昭和天皇御在位60年記念金貨」発行のため、米国から223トンもの金地金を輸入したことがあります。ちょうど激化していた日米貿易摩擦を緩和する目的もありました。

 この金貨は額面10万円で1100万枚(つまり額面で1兆1000億円)発行されたのですが、使用している金の価値は金貨1枚あたり3万8000円ほどで、発行コストを考えても6000億円以上の「発行差益」が国庫に入りました。

 1万円札の発行コストが1枚=20円なので「それよりはマシではないか?」と思われるかもしれません。詳しく解説する紙面がありませんが、この6000億円以上の「発行差益」は新たな国民負担になりました。

 ところが1990年1月に大蔵省(当時)が蒼ざめる事態が発生しました。

 何と10万8000枚もの偽金貨が発見されたのです。記念金貨といえども額面の10万円で流通するので、この偽金貨は銀行で108億円に交換され、どこかに海外送金されてしまっていました。

 ところがこの偽金貨を鋳造するときに必要な金のコストは額面の4割以下なので、60億円以上の利益が海外の「誰か」の懐に入ってしまいました。

 本誌はその当時も国際金融業務に関わっており、たまたまですが「犯人」を知っています。もう時効なので発表してもいいのですが、「有名なスイスの金融機関」が関与していたとだけ書いておきます。

 当時の大蔵省も抗議したのですが「金貨と呼称しているなら溶解も鋳造も自由であり、発行者(大蔵省)は額面で流通させる義務がある」と一喝されて、引き下がるしかなかったようです。

 確かに正論です。