まとまりそうもないスカイマークの再建案

 1月28日に民事再生法の適用を申請したスカイマークの再建計画提出期限が今週末(5月29日)に迫っています。

 ここにきて3200億円といわれる債権総額のうち、中型機A330・7機のリース債権など1000億円の債権があると主張する米航空機リース会社のイントレピッド・アビエーションと、超大型機A380・6機の解約に伴う違約金7億ドル(840億円)の債権があると主張するエアバスが難色を示しはじめました。

 これらの債権とは、本当にスカイマークが支払うべき債権であるとも思えませんが、この大口債権者2社の協力が得られない再建計画など承認されるはずがありません。

 そもそもスカイマークの再建に関しては、DIPファイナンス(つなぎ融資)の提供先でしかなかった投資ファンドインテグラルが最初からイニシアティブを握り続け、当初から大変に違和感があるものでした。

 インテグラルとは航空事業の専門知識も実務経験も全くなく、豊富な資金があるわけでもなく(ファンド規模が400億円程度です)、当然に海外の大口債権者や内外の航空業者や行政当局を相手に強い交渉力を発揮できるとも考えられません。

 インテグラルが目論む再建案とは100%減資、95%債権カットを中心に負担を減らし、それで明らかにケチった180億円の資本金のうち50.1%(つまりたった90億1800万円)を払い込むだけで新生スカイマークの主導権を握ってしまうものです。

 かつて全く何も実績のなかったリップルウッドなる無名の海外ファンドに、10兆円以上の公的資金を投入した旧・日本長期信用銀行(現・新生銀行)をわずか10億円で売り渡してしまい、その後の再上場で巨額利益を奪われたうえに1円の税金も取れなかったことに比べれば、インテグラルは日本の投資ファンドであるだけまだマシかもしれません。

 ただインテグラルへの資金提供者も誰だかわからず、外国人の利益のためだけに動いているのかもしれません。

 何でこのような「暴挙」が可能なのかというと、日本の狭い特殊な「倒産村」の顔役である多比羅誠弁護士がスカイマークでも監督委員となっており、インテグラルと最初から握っていた「出来レース」だったとしか考えられません。日本の特殊な「倒産村」ではよくある話です。最近また少し面白くなってきた月間・FACTAも6月号で指摘しています。

 

 この「出来レース」には、スカイマークが持つ36の羽田発着枠をJALだけには渡したくないANAがわずか16.5%の少数株主としての立場を呑み、政策投資銀行と三井住友銀は拒否権がある33.4%を合わせて出資することで発言力を残し、海外の「大口債権者」であるイントレピッドとエアバスANAとの取引を増やすことによりできるだけ債権を回収しようと考えていました。

 つまり各社各様の思惑をうまくまとめあげ、この「出来レース」が成立してしまうようにも見えていました。

 ところがここにきてANAがイントレピッドとエアバスに対する特別な配慮を拒否したため(当然ですが)、この2社が態度を硬化させたようです。

 ANAとしても、訳のわからないインテグラルに采配を振るわれなくても自社だけで支援が可能で、そもそも最初から面白くなかったはずです。考えてみれば「飛行機を飛ばせる」参加者はANAだけです。JALは破綻しているため、2017年までは他社のスポンサーになれません。

 さて「倒産村」の顔役である多比羅弁護士と、その仲間のインテグラルが、あと2日でどのような奇策をひねり出すのかが注目されます。普段あまり表に出ない「倒産村」の特殊な論理展開がみられるかもしれません。

 ここはとりあえず白紙に戻して、もう一度競争原理と資本の論理を前面に出した再建策を広く求めるべきと考えます。日本と日本人と日本の証券市場にとって有益な再建案であれば、海外からの参加を拒むものではありません。

 ただ本誌は以前から主張しているように、特に海外の大口債権者への対策もあり、民事再生ではなく破産(会社更生法)・入札による事業継承者の公募にすべきと考えています。

 2014年8月6日付け「このままだとエアバスに食われてしまうスカイマーク」、2015年1月29日付け「スカイマーク・エミレーツ・エアバス」も読んでみてください。