国際商品価格(CRB指数)急落の本当の怖さ

 原油や金だけでなく、ほとんどの国際商品価格が急落しています。国際商品全体の値動きを表す代表的なCRB指数は8月3日に199.30と、何とリーマンショック直後の2009年3月につけた最安値・200.34を下回ってしまいました。昨日(8月4日)は少し反発したものの200.87と低水準のままです。

 本誌は2010年10月から書き始めていますが、実はCRB指数は初めての登場です。つまり本誌を書き始めて以来初めての「CRB指数の異常事態」なのです。

 CRB指数の構成品目は2005年9月から変更されておらず、エネルギー関連が原油(WTI)、暖房油、無鉛ガソリン、天然ガス、貴金属・鉱物関連が金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、農産物・食品関連が小麦、大豆、トウコロモシ、綿花、砂糖、ココア、コーヒー、オレンジジュース、畜産関連が生牛(Live Cattle)、豚肉赤身(Lean Hog)の19品目です。

 あまりなじみのない品目もありますが、すべて規格化され先物市場で活発に取引されている指標性のある品目ばかりで、CRB指数そのものも先物オプション取引所(ICE)で活発に取引されています。またCRB指数はドル建て表示です。

 CRB指数は、ITバブル崩壊同時多発テロで景気低迷していた2001年10月の183をボトムに、中国など新興国の需要拡大を背景に2008年7月に475まで上昇しました。その直後(2008年9月)にリーマンショックとなり2009年3月に200まで急落したものの、FRBをはじめとする世界的な金融緩和・量的緩和と中国の4兆元の経済対策などで景気回復期待が盛り上がり2011年5月に368まで上昇しました。

 そこから緩やかな下落となりますが、急激な下落は2014年6月の312から始まり、本年3月の209から5月に231まで少しだけ反発したものの、6月30日の227.17から中国株急落やギリシャ問題などで再び急落し8月3日には199.30まで下落してしまいました。

 つまりCRB指数は、リーマンショック直後の世界経済の急激な収縮に加えて商品市場に積み上がった膨大な仮需(もっと値上がりする、もっと品不足になるとの見通しで積み上げた実需以上の在庫や先物市場の投機的ポジション)が一気に押しつぶされて急落したのですが、その状況下における最安値(2009年3月の200.34)をこれだけ世界中で金融緩和・量的緩和が続く中で下回ったことになります。

 

 CRB指数はドル建てで、2009年3月時点の為替は1ドル=96円程度だったので、円建てではまだ当時より3割ほど値上がりしていることになります。

 ちなみに2009年3月のNYダウ安値は6469ドルなので、昨日(8月4日、17550ドル)はその2.71倍、同じく2009年3月の日経平均安値は7021円なので、本日(8月5日、20614円)はその2.93倍、ドル建てに換算しても2.27倍になります。

 繰り返しですが、CRB指数は2009年3月の安値を下回ったのです。

 本誌がいつも繰り返す、リーマンショック以降の中国経済の規模と成長率を過大評価して世界中に供給超過・過剰資源になっているとか、同じく世界的な金融緩和・量的緩和の景気回復効果を過大評価しているとか、FRB量的緩和による実物資産のドルに対する値上がりを過大評価していたなど「後講釈」は山ほどあります。

 ここで最も真剣に考えなければならないことは、現在も世界的に投資資金が過剰であることは間違いなく、その過剰な投資資金が国際商品から逃げ出しているなかで、どうしてなんの疑問もなく世界的に株式市場に「だけ」投資資金が流れ込んでいるのか?です。

 もちろん国債市場にも投資資金が流れ込んでいますが、これは日銀やECBが国債を大量に買い入れていることと、世界的な景気減速・国際商品価格下落の流れと矛盾しません。

 株式市場では、景気減速・長期金利低下・国際商品価格下落に伴い「どこかの時点」で企業業績が全般的に下向きになるはずで、少なくとも増益基調が「もっと早いどこかの時点」で鈍ることになるはずです。

 それらが世界の株式市場に「いつどのように」影響を与えるかの見極めが最重要となりますが、ここのところ日米の株式市場で「増益でありながら増益幅が予想を下回った」ため株価が下落する優良株も目につき、大変に気になっています。

 その辺りをマクロ的・ミクロ的(企業業績の分析)双方から徹底的に解説する記事を、来週月曜日(8月10日)配信の有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」に掲載します。よろしかったらお申込みいただき、読んでみてください。