マイナス成長だった2015年4~6月期GDP

 内閣府が昨日(8月17日)に発表した2015年4~6月期の実質GDP(速報値)は、前期比0.4%減(年率1.6%減)と3期ぶりのマイナス成長となりました。

 報道はもっぱら天候不順などによる一時的なマイナス成長で、7~9月期にはプラス成長になると強調していますが、少し冷静になって考えてみましょう。

 まず2015年1~3月期は年率3.9%増から4.5%増へ上方修正されていますが、2014年度(2014年4月~2015年3月)の実質成長率は前年比0.9%減のマイナス成長でした。つまり日本経済は2014年4月の消費増税後の5四半期(15ヶ月)は、マイナス成長だったことになります。

 東日本大震災(2011年3月11日)と、それに続く2012年11月までの超円高(75円~82円)に苦しんだ日本経済は、それでも実質で2011年度が0.4%増、2012年度が1.0%増とプラス成長でした。また2013年度はアベノミクスと「異次元」量的緩和と円安・株高で、実質で2.1%のプラス成長まで回復していました。

 量的緩和は昨年10月末に「さらに異次元に」なっており、同じ頃からさらに円安と株高になって現在に至るのですが、その中でのマイナス成長なのです。

 ちなみに2015年4~6月期の米国GDPが実質年率2.3%増、ユーロ圏が同1.3%増のプラス成長でした。

 

 日本の2015年4~6月期GDPの内訳を見ると、落ち込みが激しいのは民間最終消費の0.8%減(年率3.0%減!)、輸出の4.4%減(年率16.5%減!)で、プラスは民間住宅投資の1.9%増(年率8.0%増)と公的需要の0.8%増(年率3.1%増)だけでした。

 ここで民間最終消費の落ち込みは製品価格等の値上がりに所得増加が追いついていないからですが、7月以降も所得が増えているようには見えません。さらに輸出も中国株式が急上昇していた4~6月期でも大きく落ち込んでいたため、中国株式が急落した7~9月期はもっと落ち込むはずです。

 またCRB指数にみる商品価格も下落を続けており、商品価格は世界経済の一致指数(タイムラグがない)であるためますます世界経済が足元で落ち込んでいることになり、これらを総合すると「魔法でもかけない限り」7~9月期もプラス成長になりません。

 2015年4~6月期の名目成長率は前期比0.02%増(年率0.1%増)と辛うじてプラスでした。しかし2015年4~6月期の名目GDPは499.8兆円で、過去のピークだった1997年(暦年)の523.2兆円を大きく下回ったままです。ちなみにこの1997年4月にも消費増税(3%から5%へ)があり1999年には504.9兆円に落ち込んでしまいました。

 さて日本の本年前半(1~6月)の実質GDPは年率換算で1.5%増でしたが、世界全体でも中国やロシア、ブラジルなど新興国経済の減速もあり年率換算で1.9%増にとどまりました。つまり日本だけが突出して低成長だったわけではありません。また世界経済は年初では年率3.0%程度の成長と予想されていたため、想定以上に世界経済は減速していることになります。そして足元では「さらに」減速しているはずです。

 ところでFRBの利上げが近いと考えられています。確かに米国内の経済状況だけ見れば、雇用状況や銀行の融資姿勢などは1回くらい予防的利上げが必要とされるほど改善しています。しかしFRBが米国内の経済状況だけを見て9月にも利上げに踏み切ってしまうと(踏み切ると思います)、これも世界経済をさらに減速させてしまう要因になります。

 そうなると日銀は、さらなる追加量的緩和に踏み切るかもしれません。ところが追加量的緩和(日銀がさらに国債を大量に買い入れる)に踏み切っても、それは長期金利をさらに押し下げて、すでにゼロ%台前半にまで落ち込んでいる日本の潜在成長率をさらに押し下げる結果になるだけです。

 だいたい2年半も量的緩和を継続した結果がマイナス成長なので、そこから追加したところで経済に与える効果はわずかで、これからは弊害の方が出てくるはずです。

 本年3月にECBが初めて量的緩和に踏み切りユーロ圏の経済も回復していますが、これは日本でも見られたような量的緩和の初期段階における期待感の盛り上がりによるもので、これだけでは持続しません。

 日本の(日銀を含む)経済対策は、完全に手詰まりになっているようです。あとは量的緩和=円安=株高という「安直な公式」に、いつまで頼っていられるかです。