大変に弱体化している世界の政治体制

 中国発で急落した世界の株式市場は落ち着きを取り戻しつつありますが、改めて表題の危機を感じています。世界の政治体制が弱体化していると、今回のように世界の経済や金融市場が混乱するとなかなか的確な対応が取れずに問題を大きくしてしまう恐れがあります。

 オバマ大統領は今週月曜日(8月24日)まで何と17日間の夏休みを取っており、ゴルフ三昧だったようです。幸か不幸かこの間の世界では株価が急落した以外には大きな混乱はありませんでしたが、米国では17日間も行政と軍隊の最高責任者が不在だったことになります。

 オバマ大統領は内政では完全にレームダック化しており、盛んに外交で存在感を示そうとしていますが、その外交でも「問題だらけ」です。キューバ国交回復くらいならキューバをバブルまみれにしてしまうだけで世界にとってそれほどの迷惑話ではありませんが、先日のイラン核合意はイランに「小型の核爆弾をゆっくりと製造するならどうぞ続けてください」と経済制裁を解くもので、世界の紛争地にはあっという間にイラン産の小型核(しかも粗悪品の恐れあり)が大量に供給されてしまう大変な迷惑話となります。

 世界の政治や経済よりゴルフの方が大事らしいオバマ大統領の任期は、あと1年半近くも残っており、その間に世界の政治や経済に大問題が発生したときに「とても的確な対応が取れる」とは思えません。

 リーマンショックがあった2008年秋には、任期切れ直前だったブッシュ大統領、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長のトリオで、FNMA・FHLMCの国有化、TARP法案(公的資金注入)、FRB量的緩和(QE1)など「かなりの荒業」で対応しました。ついでに瀕死のモルガンスタンレー三菱UFJから1兆円も投資させて危機を救いました。

 

 その成果については評価が難しいものもありますが、現在のゴルフの方が大事なオバマ大統領、何をやっているのかさっぱりわからないルー財務長官、典型的な学者タイプのイエレンFRB議長の組み合わせで、もし米国や世界の政治や金融市場が大混乱に陥ってしまったら的確に対応できるかどうかは大変に疑問です。

 つまりオバマ大統領の任期が残るあと1年半の間に、世界の政治や経済に「大問題が起こらないこと」を祈るしかありません。イエレンFRB議長の任期は2018年2月までですが、現在のFRB理事5名(2名欠員)はすべてオバマ大統領の推薦で、フィッシャー副議長を除くと「大物」はいません。欠員2名もオバマ大統領の任期中に補充されることはなく(議会承認が必要だから)、FRBも大変に弱体化したままとなります。

 しかし世界を見渡せば、政治が弱体化しているのは米国だけではありません。

 中国も習近平総書記が、長老も含めた中国共産党内部の権力闘争には勝利を収めているようですが、最近の経済低迷と株価急落で「アマチュア並みの対応」しかできないことが露呈してしまいました。この調子では国内の(とくに経済・金融界の)支持を失い、オバマ大統領のように対外的に存在感を示そうとするなら、世界の政治や経済にとってますます波乱要因となります。

 EUもギリシャだけにあそこまで引っ掻き回されたように(チプラス辞任でまた新たな波乱がありそうです)、全体としての結束や問題解決能力が低下しているように感じます。

 ロシアも経済制裁と原油価格急落で経済が疲弊しており、さすがのプーチン大統領も剛腕を発揮できなくなっています。

 さてわが日本の政治体制はどうなのでしょう?安倍首相の意欲も最近は空回りしているように見えますが、なによりも与野党とも国会議員は質もモラルも絶望的に低下しています。嫌になってくるのでいちいち例を挙げません。
 
 外交問題では、日本の国会内に日本の味方でない政党がいるという驚くべき状況が長年続いているため、中国だけでなく韓国や北朝鮮に対しても驚くほど弱腰のままです。

 経済・金融問題では、安倍首相、麻生財務大臣(金融担当大臣まで兼務)、黒田日銀総裁、それに増税など省益拡大しか眼中にない大蔵官僚の組み合わせでは、米国のことを心配しているどころではありません。

 つまり今後(とくにオバマ大統領の任期が残る1年半の間)の世界は、政治だけでなく経済や金融市場において「大変に脆弱な危機対応能力」しか備わっていないことを十分に認識しておくべきです。