中国経済の何が問題なのか?

 本日(9月2日)の日経平均は、朝方に8月26日以来の18000円割れとなった後は反発したものの、結局は売り物に押されて終値は70円安の18095円となりました。

 日経平均だけでなく世界の株価が不安定な最大の理由は中国経済の低迷とFRBの利上げですが、どちらも最近になって急に出てきた材料ではありません。それでは何で最近になって急に世界の株式市場が神経質になってしまったのでしょう?

 中国人民銀行は昨日(9月1日)、将来に人民元を売ってドルなどの外貨を買う為替予約について、予約を受けた銀行に対して為替予約額の20%を「危険準備金」として中国人民銀行に無利子で預ける義務を課すと発表しました。

 中国では為替取引はすべて貿易など実需取引であることを証明する書類が必要ですが、為替予約には必要ありません。今回の措置は為替予約を受ける銀行に余計なコストがかかるため手数料などでコストを転嫁することになり、結果的に人民元売り・外貨買いの為替予約を抑制することになります。

 逆に人民元買い・外貨売りの為替予約には「危険準備金」が課されないため、抑制されないことになります。

 つまり人民元のこれ以上の下落を食い止める方策で、10月15日から適用されます。この発表を受けた本日(9月2日)の人民元・ドルレート(実取引)は1ドル=6.3568人民元と、中国人民銀行が「基準値」を引き下げた8月11日以来の人民元高となりました。

 中国の外貨準備はピークだった2014年6月の3兆9900億ドルから2015年7月の3兆6500億ドルまで、直近の13か月間で3400億ドルも減少しています。この間の経常収支は2000億ドル以上の黒字だったため、差し引きで5400億ドル以上の外貨が「外貨規制をすり抜けて」海外に流出していることになります。また8月は突然の「基準値」引き下げで、その流れがさらに加速したはずです。

 この8月11日からの「基準値」引き下げと今回の人民元売り為替予約規制の、最も深刻な問題は何でしょう?

 それはあれだけ中国は人民元をドルなどに対して割安に放置していると国際的に批判されていたのに、いったい何時からこういう措置を講じなければならないほど人民元は割高になってしまったのか?ということです。

 その理由は人件費の高騰などで中国経済はかつてほど国際競争力が無くなっているからですが、最大の問題は人民元がこれから(いくら措置を講じても)結局はドルなどの外貨に対して値下がりすると認識されることで、これまで中国経済の未曾有の成長を実現させた外貨流入が逆回転してしまうことです。

 皮肉なことですが人民元は割安と批判されていたときは、中国経済は「悔しいけど」成長するとの安心感があったのですが、最近は逆に「大丈夫なのか?」と心配されるようになってしまい、それがますます中国経済の足を引っ張る結果になります。

 誰も「値下がりする人民元」に投資しようとも手元に保持しようとも考えないため、人民元の国際化も難しくなり、紙切れ(人民元紙幣)で原油や農産物を購入する目論見まで頓挫してしまうことになります。

 これは中国経済の減速についても同じで、仮に7%まで減速しても成長していることは間違いないと考えられていたところから、最近は7%成長がウソであるだけでなく過去の高成長もウソだったと疑われているため、とたんに中国だけでなく世界経済が「とんでもない過剰生産設備と過剰資源」を抱え込んでいると認識されてしまいました。

 つまり世界中が「中国経済は高成長である」「人民元は割安である」さらに「習近平体制は盤石である」などがすべて「幻想」かもしれないと疑い始めたので、当の中国だけでなく世界の株式市場が途端に不安定になってしまったのです。

 中国以外で「幻想」がもう1つあります。

 それは「FRB に任せておけば米国だけでなく世界の株式市場は安心である」が疑われ始めていることです。FRBはこの期に及んでまだ9月16日~17日のFOMCでどう動くか決めかねており、それが世界の株式市場を大変に不安定にしています。

 本誌は9月だけでなく少なくとも年内は利上げするべきではないと考えますが、利上げするならするで「さっさと態度を表明してしまうべき」です。優柔不断は世界の株式市場を大変に不安定にして、ひいては世界経済に悪影響を与えてしまいます。