ようやく決算発表した東芝は事件化しないのか?

 東芝は昨日(9月7日)、遅れていた2015年3月期連結決算をようやく発表するともに、2009年3月期以降の決算をすべて修正しました。

 2015年3月期決算は1200億円の連結最終利益との予想から(5月に撤回)、378億円の最終赤字となりました。また2009年3月期~2015年3月期の7年間の累計最終損益は447億円の黒字から(2009年3月期が3436億円もの大赤字だったため)、1105億円の赤字に修正されました(2009年3月期も3989億円の大赤字に修正)。

 つまり連結最終損益で見ると、2015年3月期は黒字予想から赤字へ、過去7年の決算も累計で黒字から赤字へ、それぞれ修正されており、それなりに重大な修正となります。

 また過去7年分の最終損益修正額は合計1552億円となり、これはオリンパスの最大修正額1178億円より大きくなります。あれだけ大騒ぎされて刑事事件化したオリンパスは、2008年3月期連結決算を1178億円修正したのですが、実はその後の期で減損処理を繰り返して修正額は年々少なくなっていました。

 それに比べて東芝は2015年3月期に至るまで修正が必要とされた数字を延々と積み上げ続けており、「オリンパス事件より金額も大きく、はるかに悪質な粉飾決算である」と感じます。

 しかし東芝については、なぜか問題が発覚した本年5月頃から「不適切会計」という犯罪性の薄い表現で報道されており、あたかも第三者委員会の調査報告書が出て過去の「不適切会計」さえ修正すれば、何事もなかったように終結するものと感じられました。

 しかしここまでくると、そういう風向きでもなくなってきました。

 

 「不適切」でも「粉飾」でも、とにかく事実と大きく違う内容が記載された有価証券報告書を延々と受け取っていた金融庁(関東財務局)や、それをチェックすべき証券取引等監視委員会も、何かしらの処分を下さないと格好がつかなくなってしまいます。

 ルールでは証券取引等監視委員会金融商品取引法違反(開示書類の虚偽記載)に当たるかどうかを精査し、違反と判断すれば課徴金を科すように金融庁に勧告することになっています。また悪質な事例は刑事事件化する(つまり逮捕者を出す)こともあります。

 過去には(いわゆる粉飾決算に限ると)2004年のカネボウ、2006年のライブドア、2011年のオリンパス、2013年のインデックスが刑事事件化しています。つまり逮捕者が出ました。

 これに対して2006年の日興コーディアル、2007年のIHI、2008年のアーバンコーポレーションは刑事事件化せず課徴金処分で済んでいます。詳しく書く紙面がありませんが、明らかに公正さを欠いた事例も含まれています。

 それでは東芝はどうなるのでしょう?

 決算発表を受けて証券取引等監視委員会は「開示書類の虚偽記載に当たると見なし、行政処分として課徴金を科すよう金融庁に勧告する方針である」と日本経済新聞が報じています(9月7日付け夕刊1面)。

 つまり「不適切決算」ではなく「開示書類の虚偽記載」に該当するが(粉飾決算とも少しニュアンスが違うようです)、刑事事件化することはなく課徴金処分にすると発表しているようなものです。ただ課徴金は史上最大の84億円になるようで、東芝は2015年3月期決算で計上しています。

 つまり東芝が刑事事件化する可能性は「ほぼ」なくなりました。「ほぼ」と書いているのは、証券取引等監視委員会とタッグを組む東京地検特捜部が「どうしても事件にする!」と主張すればその限りでありませんが、そんな雰囲気でもなさそうです。

 これを受けて東証も、東芝を内部管理体制に問題がある「特設注意市場銘柄」に指定するようです。これは原則1年たっても内部管理体制に改善が見られないと上場廃止にできますが、東芝は臨時株主総会社外取締役を「どっさり」選任し、少なくとも内部管理体制「だけ」は申し分なくなります。

 つまり東芝上場廃止になることもありません。

 かくして「何事もなかったように」とは行きませんでしたが、東芝についてはこれで終結となりそうです。