利上げを先送りしたFOMC

 FOMCの結果(日本時間・9月18日の午前3時)を待って、久々に夜中に書いています。

 結果は現行の0.0~0.25%のFF誘導金利を据え置きました。つまり2006年6月にFF誘導金利を5.0%から5.25%に引き上げて以来、9年3か月ぶりの利上げが見送られたわけですが、本年の投票権のあるFOMCメンバー10名(2名欠員)のうち反対票を投じた(つまり利上げすべきと主張した)メンバーはラッカー・リッチモンド地区連銀総裁だけだったようです。

 しかし全FOMCメンバー17名のうち13名(前回は15名)が、年内に少なくとも1回の利上げがあると予想しており、年内に利上げがないと予想する4名(前回2名)を依然として大きく上回っています。

 また今回は2015年の成長率は2.1%に上方修正されていますが(4~6月期が年率3.7%の高成長だったから)、日本と同じ2%が目標のインフレ率は足元(7月)で消費者物価が前年同月比0.2%、卸売物価が同マイナス0.8%で、まだまだ低迷しそうな雰囲気です。

 つまり中国や新興国の経済を「心配」してではなく、米国経済を見回しても「わざわざ」利上げする必要はなかったはずです。もちろん新興国など世界経済と株式市場への影響を考えれば、「絶対に利上げしてほしくない」と考えていたのですが、本誌はこういう状態でも「学者が多い」FOMC投票メンバーは「教科書通りに」利上げしてしまうのではないか?と心配していました。

 今回だけは何とか踏みとどまってくれたのですが、FOMCは年内あと2回あります。10月27~28日と12月15~16日ですが、10月はFOMC後にイエレン議長の記者会見はなく重要な政策変更は難しいため、このままだと12月の利上げ確率がかなり高くなってしまいます。

 

 何しろ本年の投票権のないメンバーも含めるとFOMCメンバー17名のうち13名が「年内に少なくとも1回の利上げがある」と予想しているため、常識的には12月に利上げとなってしまいます。

 つまりここ1~2ヶ月ほど続いたFRBの優柔不断さが、中国政府のトンチンカンな株価対策とあわせて世界の株式市場の「2大元凶」と考えていたのですが、少なくともFRBの優柔不断さは(たぶん中国政府のトンチンカンさも)12月まで続いてしまうことになります。

 1980年代からボルカー、グリーンスパンバーナンキと続いてきたFRB議長の強い指導力が(必ずしもすべて正しかったわけではありませんが)、米国だけでなく世界の金融市場を発展させてきたことは事実です。

 こんなに優柔不断でモタモタしている最近のFRBは見たことがありません。FRBに対する市場の信頼が崩れて「任せておいて大丈夫なのかなあ?」と考えられてしまうと、米国だけではなく世界の経済や金融市場も「自信喪失」になってしまいます。

 世界の株式市場にとってFRBは「利上げするならサッサと上げてしまう」か「少なくとも年内は利上げしないと宣言する」かのどちらかにするべきだったと考えます。

 とりあえずNY市場では、NYダウが発表直前(日本時間・9月18日午前3時前)の16783ドル(前日比43ドル高)から日本時間同午前5時現在16658ドル(81ドル安)、為替が同1ドル=120.85円と1ユーロ=1.1331ドルから同1ドル=119.90円と1ユーロ=1.1426ドルと、見事にドル安・株安となっています。

 これは日本の株式市場にとっても好ましくなく、円高・株安になるかもしれません。

 またFRBが優柔不断である限り、日銀も(仮に円高・株安が進行しても)なかなか追加量的緩和に踏み切れません。本誌は決して追加量的緩和が好ましいとは思っていませんが、そのカードも無力化されてしまうことになります。FRBの利上げの可能性が残るうちは、日銀だけが追加量的緩和してしまうと金利差が拡大して円安が加速すると考えられるからです。

 そんな「結構問題の大きな」今回のFOMCだったと感じます。