何で今さら加藤暠(あきら)? その2

 3月12日付け「同題記事」の続きです。たまには本誌もこういった話題を取り上げないと飽きられてしまうからです。

 本日(9月30日)早朝、一部の報道機関のネット記事に「証券取引等監視委員会 大物仕手筋告発へ 風説流布 利益60億円」といったやや刺激的な文字が並びました。他社が追随しているかどうかはチェックしていませんが、久々に証券取引等監視委員会で刑事告発を担当する特別調査課からリークされたようです。

 要は、昭和50年代からバブル期にかけて勇名をとどろかせた「誠備グループ」の加藤あきら氏が(不思議なことに名前が一切明らかにされていません)、インターネットに根拠のない情報を書き込んで保有株の価格を不正につり上げ約60億円の不正な利益を得ており、証券取引等監視委員会が(確かに加藤あきら氏とは特定していませんが)金融商品取引法違反(風説の流布)の疑いで東京地検特捜部に告発する方針を固めたと「当局の関係者への取材」で分かったことになっています。

 本年3月11日に証券取引等監視委員会の特別調査課が、同じ疑いで加藤あきら氏(くどいようですがその時点も名前が明らかにされていませんでした)の関係先を強制捜査しており、半年以上たった本日に方針が固まったと「たまたま当局の関係者に取材していた」一部の報道機関が掴んだことになりますが、もちろんそんなうまい具合にコトが運んだわけではありません。

 こうなると加藤あきら氏およびその関係者を何人か同容疑で逮捕することになりますが(その時はテレビカメラが一斉に待ち構えていてニュースが繰り返し放送されます)、そのタイミングから逆算して一部報道機関にだけリークしたものと思われます。その他の報道機関が大慌てで取材攻勢をかけるため自然に報道が盛り上がり社会の関心を引くからです。

 さて今回の容疑(風説の流布)とは、加藤あきら氏が関与していたとされる「般若の会」が2011年当時に推奨していた銘柄(これも銘柄名が明らかにされていませんが新日本理化のことです)について、過去に加藤あきら氏が関わったとされる仕手戦で株価が急騰した事例を示しながら「同じような大相場になる」など、(新日本理化の)株価が上昇するかのような根拠のない書き込みを行ったところが該当しているようです。

 結構「無理筋」のような気もします。またこれだけでは加藤あきら氏の関与は不明で、名前だけ使われていた可能性もあります。そもそも証券取引等監視委員会の方が、加藤あきら氏の名前を使って事件を大きく見せているような気もします。

 だから「何で今さら加藤あきら?」となります。

 本日報道されている60億円の根拠や、この風説の流布との関係をどのように立件するのかも不明ですが、証券取引等監視委員会の上層部と連携を取る東京地検特捜部が「これでいける」と判断したのでしょう。また同じような組み合わせで捜査・起訴した事例は、開闢以来すべてが有罪判決となっているため、その160連勝以上の連勝記録が途絶えないように細心の注意を払っているはずです。

 ところで最近は証券取引等監視委員会の特別調査課が告発した(つまり事件化した)事例が大変に少なくなっており、本年度(2015年4月1日~現在まで)はまだ3件しかありません。株式会社ジアースのインサイダー取引と、石山Gatewayの偽計と有価証券報告書虚偽記載なので、実質は2件だけです。

 昨年度は6件、一昨年度は3件だけでした。証券取引等監視委員会の特別調査課が出動するほど「悪質な経済事件」は少ない方がよいではないか?と思われますが、本誌の実感では「これだけしかないはずがないだろう?」となります。

 今後の展開にもよりますが、あれだけ大騒ぎした東芝は早々と課徴金処分(これは刑事事件ではなく行政処分となります)で終わりそうです。

 そんな状況の中で、何で今さら加藤あきら?となるのですが、考えられるただ1つの可能性は、特に最近いろいろと取り沙汰されている反社会勢力が関わっていた(あるいは資金が流れていた)可能性があるからのような気がします。

 証券取引等監視委員会・特別調査課と東京地検特捜部のコンビでは、これまで反社会勢力が関わった可能性のある事例を取り上げたことがほとんどありませんでしたが、もし本誌の予想が当たっているならまさに「反社会勢力にも立ち向かう勇気ある証券取引等監視委員会・特別調査課と東京地検特捜部」となるため、大変に頼もしく思います。

 ぜひ国民の期待を裏切らないでほしいものです。これは決して皮肉ではなく、本心からそう期待しています。